「検索 vs ソーシャル」ではない
最近では「検索 vs ソーシャル」という軸での言説が流れている。しかし、Googleにとってソーシャルは必ずしも対立するものではない。検索結果の関連性を高めるため、ソーシャルという要素を取り入れようともしている。
「例えば、[ラーメン 渋谷]と検索した場合、つけ麺好きならつけ麺のお店が中心にでてきてほしいし、豚骨好きなら豚骨ラーメンのお店が出てきてほしいと思います。他の人が検索するのとは違う結果が出てきてほしい。その人が何が好きかというのを学ぶうえで、ソーシャルというのはすごく重要だと思います。その人と、その人を中心にした友達との関係から、『この人が好きならこの人も好きじゃないか』と類推できる。その人のことを深く学んで、検索結果をパーソナライズさせるという意味ですごく重要だと思います。アメリカでは、『このサイトはいいね』と薦める知人の顔写真とともに検索結果を表示する『ソーシャルサーチ』という機能も登場しています。信用している友人が『いいね』と薦めているなら良いサイトなのかなと思えますよね」(鈴木氏)
4月にはGoogle.comで、検索結果や広告の横にボタンを表示し、気に入ったり、他の人におすすめしたいときにクリックできる「+1」ボタンもリリースされた。GmailやGoogleプロフィールなどを通じて“ユーザーと関係のある人”同士が、誰がクリックしたのかといった情報を共有できる機能だ。

一方、Googleとしては、SNSのような閲覧制限が設けられるサイトに利用が偏りすぎ、有益なコンテンツがオープンでなくなることに対して、懸念も抱いているという。
「Googleとしては、常にすべての情報がオープンになっていてほしい。ソーシャルの世界でクローズドなコンテンツが増えることは、ユーザー全体のことを考えると良いことではないと思います。パーソナルな情報をオープンにしたくないという思いを理解できる半面、より便利になってほしいという思いもあるのです」(鈴木氏)
ほんの5年前には考えらえないほど、アクセスできる情報が増え、大きく様変わりした我々の検索体験。日々進化を続けながら、それをけん引しているGoogleだが、まだまだ道半ばだという。かつて創業者ラリー・ペイジは完璧な検索エンジンを“ユーザーの意図を正確に把握し、ユーザーのニーズにぴったり一致するものを返すエンジン”と定義した。その思想は今も変わらない。
「我々が厳しい目を持って改善点を見つけ出さないといけないと思っていますし、ユーザーからフィードバックを得ることで改善点が見つかることもあります。ですが、それでも氷山の一角。その裏には不満に思われているところがたくさんあって、我々にまで届いていないところもあるでしょう。検索としての完成度は、まだまだだと思います。完成に近づいているのなら、こんなにエンジニアが注力して、毎年毎年改善はしていないです。Web自体もユーザーの期待値も変わっているので、Googleも変化を続けないといけない。永遠に終わることはないかもしれません」(鈴木氏)

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