Joost、ニコニコ動画…技術革新により「新たな映像メディア」として急激に変化を見せているインターネット。大きなうねりの中でチャンスを掴むために必要なことは、情報に踊らされることではなく、ユーザの変化をキャッチする、徹底したユーザ視点なのです(Vol.1、Vol.2、Vol.3もどうぞ!)。
遊談相手
古株均(こかぶ・ひとし) 株式会社J-Stream取締役副会長
(株)アスキー、ノベル(株)を経て、トランス・コスモス(株)入社。1997年5月Jストリーム設立と同時に取締役副社長に就任。営業と新規事業開発を担当。現在はクロスコ株式会社で代表取締役を務める。
この先もお茶の間メディアの王様はTVです
四家
ただ、今話題の
Joostみたいなのがでてくるとさすがにテレビの人もちょっと怖くなってると思うんですけど、どうですか。古株さんは日本人初かもしれないくらい早くからJoostを試されてますよね。
古株
え、そう? 確かにあれは、全世界共通のオン・デマンドのスカパーですからね。でも、映像のクオリティは低いですよ。PCで見るとうおおおお! って思うけど。あれ、去年の9月ぐらいにはじまったんだよね。TheVenice Project って名前だったけど。
四家
P2Pなんですよね。
古株
そうです。Skype作った二クラスがやってますからね。FirstTrackの仕組みを元に作られてるんだと思いますよ。今、この手のIPTVの話で盛り上がってますけど。結局、映像の伝送経路があーだ、こーだといってるわけじゃないですか。IPマルチキャストだとかほにゃららだとかね。こんなの、言ってるのは一部の人だけだよ。
四家
そりゃそうですね。
古株
だって、ほとんどの人は、自分の見たいのがちゃんと見えればいいんだもん。DVDで見ようがスカパーで見ようが、IPでもCATVでもVHSでもなんでも良いと思いますよ。一番大事なのは、アウトプットデバイスを押さえることです。
四家
ソースはいろいろ、アウトプットはみんなテレビ。
古株
テレビ局の人が一番考えないといけないのは、24時間のうち、ブラウン管というか液晶画面に、テレビの映像が映る時間が下がってきているということです。そもそも、テレビって、地上波チューナーと画面と、スピーカがセットになったものだった。そこのビデオ端子に、VHSが接続されDVDがつながり、ゲーム機がつながってきたわけです。PS2の映像が映ってたり、DVDプレイヤーの映像が映ってたりして、いままで地上波チューナーの映像が流れていた時間が、他のソースに相当時間を食われてるはず。
四家
実際そうですね。
古株
そこに、新たにパソコンがつながるかもね、ということで大騒ぎしてるように思う。はっきりいうと、パソコンで映画は見ないから、安心してくださいといいたい。この先、10年たっても、お茶の間のエンターテインメントの王様はテレビ以外考えられない。
四家
実は、僕もそう思ってます。
古株
テレビ局の人は自分たちの創っているコンテンツが、テレビチューナー向けのコンテンツである、と理解したほうがいいと思うよ。ソースは複数になってきたので、テレビっていう言い方がテレビ局を惑わしてるように思う。要するにテレビは、お茶の間映像アウトプットデバイスなんだもん。
四家
ソース増えたけど「お茶の間映像アウトプットデバイス」という機能は変わっていない。
古株
そうそう。JoostはたしかにPCの映像当面からするとスゲーだけど、PCのTVアウトからJoostの映像をテレビに映すと、たいしたこと無いよ。同じ画面でDVDの映像うつすと、やっぱりテレビは違うねぇーと実感するもん。
四家
さらに今度は大画面化・ハイビジョン化が進んで、お茶の間のテレビの性能が上がっちゃいましたからね。地デジの番組観たあとにDVD観ると、あれって思いますからね。ブルーレイかHD-DVD欲しくなる。いまのPC用の映像なんか、あのテレビで見るには、ちょっと。
古株
ハイビジョン綺麗だからね。PCは、しょせん、PCだしって感じ。だから、この先は、やっぱりエンタメコンテンツはテレビで見ても見劣りしないネットの映像クオリティってのが望まれてると思う。簡単に言うと、1.5Mとか3MのWindowsMediaの映像をテレビで見せてる以上、ニセモンでしかなくて。
四家
過渡期ですね。