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顧客満足向上でさらなるサイト成長を目指す!~ECサイト顧客マネジメント戦略

ECサイトにおける顧客マネジメントの概要と顧客ランクの分類 ― ECサイト顧客マネジメント戦略第1回


 この連載では、顧客満足の高いECサイトを構築するための方法「顧客マネジメント」を、サービス・コンテンツ・機能など、具体的なアイデアを用いながら解説する。第1回目となる今回は、ECサイトにおける顧客マネジメントの概論と前提となる顧客の分類方法などを、紹介していく。

ECサイトにおける顧客マネジメントって何?

 経済産業省の発表によると、2010年のBtoC EC市場規模は約7.8兆円に上るという。瞬く間に急成長を遂げ、ますます活況を呈すEC市場だが、その分、プレイヤーの数も増加していると言える。さらに、ユーザーのECでの購入体験が増えたことで、サービスやディスカウントなど、他サイトとの差別化が求められるケースも増えてきている。また、サイトの規模が大きくなるにしたがって、運用管理や顧客管理といった問題も生じてきているサイトも多く、近年、成長の鈍化に頭を抱えている企業も多いのではないだろうか?

 そもそも、ECサイトの売上を上げていくためには、世の中にたくさんあるECサイトの中から、自社のECサイトを選んで継続して購入してもらわなければならない。そのためには、「買い物体験」(買う理由)を常にユーザーに提供していく必要がある。しかし、全てのユーザーに同一の買い物体験を提供するのでは効率が悪く、顧客満足を高めることもできない。

 実際問題として、継続してたくさん商品を購入する顧客からすると、特別な対応をお店に期待するものである。潤沢に資金があれば、全ての顧客に対して最大限の顧客満足を得るために「買い物体験」を提供していく事ができるが、限られた予算の中で全ての顧客に対応していくことは現実的に考えて難しい。こうした様々な事情を解決してECサイトの売上をあげていくという考え方が、「ECサイトにおける顧客マネジメント」である。ECサイトにおける顧客マネジメントとは、ECサイトに訪問してくるユーザーを区別し、それぞれのユーザーに応じた「買い物体験」を提供していくことを意味する。

 これから全6回にわたり、ECサイトにおける顧客マネジメントの方法論を紹介していく。顧客ランクを分類したうえで、それぞれの顧客に対して、どのような「買い物体験」を提供していけば顧客満足の高いECサイトになるか、「サービス」「コンテンツ」「機能」という視点で、具体的なアイデアを用いながら書いていきたい。ECサイト運営の一助になれば幸いである。

ECサイトにおける8つの顧客ランク分類

 まずは、基本となるECサイトで考えておくべき「顧客ランクの分類」を紹介しよう。当社は、メーカー企業が運営するECサイトの総合支援をする事が多いのだが、大半の企業が2ステップ(※注1)で通販ビジネスを行っているので、「単品通販」で「2ステップ」という通販ビジネスモデルの場合の顧客ランク分類を例にとって説明していく。

※注1:「2ステップ」

 本稿では、低価格の有料お試しセットをまずは販売し、顧客リストを獲得した後、通常の商品を継続して販売していく手法を指す。

 なお、中には期間や回数によってさらに細かく分類するケースもあるが、ECサイトの「サービス」「コンテンツ」「機能」を考えるという視点においては、あまり細かく分類すると複雑になりすぎるので、ここでは避けることにする。

 顧客ランクは、次の8つに分類できる。2ステップ手法を用いないECサイトの場合、「本品購入者」を「新規顧客」として分類し、「引き上げ顧客」はランク付けしないといった風に置き換えてほしい。

顧客ランクの分類
顧客ランクの分類

サイト訪問者

 ECサイトへの初回訪問者。ECサイトの役割を明確にするために、あえてランディングページ(主に広告から流入させるページ)を除外して定義する。

見込み顧客(FAN)

 商品を購入しないけれど定期的に何回もサイトを訪問してくれる訪問者。メールマガジンの定期購読者など。最近では、各ソーシャルメディアのシェアボタンをクリックしてくれる訪問者も含まれる。

新規顧客(トライアル商品購入)

 有料のお試しセットを購入してくれた顧客(2ステップ手法を用いない場合は、本品を購入してくれた顧客)。

休眠顧客

 有料のお試しセットを購入後、本品購入を勧めるDMなどを送っているにもかかわらず、購入がない顧客。購入がない期間については、様々な要因が絡むため一概には言い難いが、お試しセットの消費が終わってから90日後ぐらいを目処に、休眠顧客にランク移動するのが現実的である(※注2)。

※注2

 顧客がいつ買うのかは、お店の対応、商品特性、商品金額、顧客それぞれの商品必要度、可処分所得といった個別事情によるところがあるので推測は難しい。実際には、お試しセット購入から通常商品購入の経過日数(レスポンス率が低くても費用対効果が見込めるタイミング)といったデータを分析したうえで、期間を設定してもらいたい。

 2ステップ手法を用いない場合は、本品購入後、販促用のDMなどを送っているにもかかわらず、商品の購入がない顧客。

引き上げ顧客:通常顧客(本品購入)

 有料のお試しセットの購入後、本品を購入してくれた顧客。または、お試しセットを購入せず、そのまま本品を購入してくれた顧客(2ステップ手法を用いない場合は、ランク付けしない)。

リピート顧客

 一定期間、本品を何度も購入してくれる顧客。

定期顧客

 定期商品を申し込んでくれた顧客。

優良顧客

 優良顧客の定義は企業によって異なる。一般的に、「80:20の法則」でいう顧客あたりの売上金額が上位20%に属する顧客(20%の方)と定義する場合、RFM分析において「Recency(最新購買日)」「Frequency(累計購買回数)」「Monetary(累計購買金額)」のスコアが全て高いグループに属する顧客と定義する場合、などが考えられる。

 では、こうした分類を、どのように戦略に落とし込んでいけばよいのだろうか? ランクに基づき戦略を構築のための表を作成してみたので、次のページではそれを利用して説明していこう。

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この記事の著者

工藤 暢久(クドウ ノブヒサ)

1976年 愛媛県生まれ

Q Inc.(株式会社 久) 代表取締役

大手企業を中心に各種Webマーケティングのプロデュース・プランニング業務に従事後、現在は、ECプロデューサー・ECコンサルタントとして消費者視点・消費者行動に即した、ECサイト構築/運営支援を行なっています。

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/06/29 12:41 https://markezine.jp/article/detail/13949

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