大規模サイトから支持される拡張性、複数サイトの横断検索にも対応
サイト内検索の利便性を向上させるためのツールは複数の企業から提供されてはいるが、FAST Search Server for SharePointは特に大規模サイトでの採用・運用実績が多い。前述の柔軟なカスタマイズ性や安定性などが、大規模な検索クエリが発生するサイトから特に支持されている要因だ。
「スケールアウトはFAST Search Server for SharePointが得意にするところ。サーバ台数を増やしていくことで、検索速度を向上できます。さらに扱えるアイテム数も多く、10億アイテムまで大丈夫です」(延原氏)
また、FAST Search Server for SharePointには複数のサイトを横断して検索する機能も備わっている。製品・サービスごとに独自ドメインで運用している企業もあることだろう。そうしたケースでは、課金形式がドメイン単位だと費用がかさんでしまうが、FAST Search Server for SharePointの料金体系はサーバ台数による課金。強みとする機能を活かしやすい料金体系になっている。
SharePoint + FAST Searchで検索結果をパーソナライズ
「FAST Search Server 2010 for SharePoint」という名称から分かるように、同製品はMicrosoft SharePoint 2010ファミリーに属する検索基盤。SharePointは、もともと社内の情報共有の効率化を促すプラットフォームとして発展してきた経緯から、ユーザー権限ごとに表示する情報をコントロールする認証機能を標準で備えている。そのSharePointの強みを活かすことで、より高度な検索体験をサイト来訪者に提供することも実現可能だという。
「FAST Search Server for SharePointはユーザーの属性によって検索結果を変えることができます。例えば、OpenIDに対応したFacebookアカウントでユーザーにログインしてもらいます。すると、Facebookに記載されている年齢や性別によって検索結果ページを出し分けることができるようになるわけです。女性ユーザーに対して、男性用の製品ページを検索結果の上位に表示させても仕方ありませんよね。訪問者の属性に応じて動的に表示するコンテンツを変えていくことで、さらに利便性を高めることができるのです」(延原氏)
サイト内検索は基盤になるもの ― SEOやLPOと同じレベルで取り組むべき
冒頭で取り上げたサイトユーザビリティ調査が示しているように、サイト内検索を疎かにしてしまっている企業は、あまりにも多い。そんな現状に対して、ユーザーが不満を抱いてしまっているのも先に触れたとおりだ。それだけに、「サイト内検索は基盤になるもの。ユーザーの利便性を考えるならサイト内検索を改善することは避けられなくなっています」と延原氏は訴える。
取り掛かりやすく効果も計測しやすいSEOやリスティング広告の最適化を優先したい気持ちは分かるが、それだけでは伸び悩みを感じてしまっている企業も多くなっているのではないだろうか。SEOやリスティング広告で新規ユーザーを集めてきても、「目的の情報がそのページには見つからなかった」「ほかの情報も探してみたい」と思ったユーザーはサイト内検索などを使って深く情報を探ろうとするはず。そんな時に、受け皿となるサイト内検索に穴があり、取り漏らしを増やしていては意味がない。むしろ、新規ユーザーに不快な思いをさせては、今後のブランディングを考えると、マイナスにもなりかねない。
SEOなどの集客施策と受け皿となるサイトのユーザビリティは、パフォーマンスを改善するうえで両輪となるもの。そのうちの後者、ユーザーに快適なユーザビリティを提供するためには、手付かずのまま残してしまっている企業が多いサイト内検索という基盤にテコ入れをするべきなのだろう。