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Facebook+動画でトラフィックが50倍に! アメリカで再注目なのは「トラフィックをどう増やすか」

 トラフィックを増やすだけでは意味がない。重要なのは成果を増やすこと――。そんな認識が広まっているが、コンバージョン率向上の取り組みが一段落着いた のか、アメリカでは再び「トラフィックをどうやって増やすのか」というテーマで盛り上がり始めている。そのためにキーワードになってきそうなのが 「Facebook+動画」。ハーバード大学がトラフィックを50倍に増やすなど、アメリカでは「Facebook+動画」でトラフィックを稼ぐ施策が浸 透しつつあるようだ。

再び「どうトラフィックを増やすか」が焦点に

 時代が一回りしたのだろうか。アメリカのWeb担当者の間では「どうやってコンバージョン数を増やすか」から「どうやってトラフィックを増やすか」へと、鶏と卵の関係ではあるが、トラフィックにより焦点を当てる企業が増えつつあるようだ。

 動画配信プラットフォームを提供するBrightcove主催のカンファレンス「brightcove PLAY 2011」では、キーノートスピーチに同社CEOのジェレミー・アレイヤ氏が登壇。同氏のスピーチなど、カンファレンスの至る所で「動画とソーシャルメディアでトラフィックをどう増やすか」というテーマが取り上げられた。

 さまざまな企業が動画+ソーシャルの取り組みを披露する中、目覚ましい実績を上げていたのがハーバード大学。同大学のWeb担当者によれば、動画+ソーシャルで同大学サイトのトラフィックは50倍に激増したという。

 動画+ソーシャルでなぜトラフィックが増えたのか。ソーシャルメディアの特性にも触れながら、ハーバード大学などの取り組みを紹介していこう。

動画プレーヤーに“いいね!”を加えただけでトラフィックが50倍に

 カンファレンスに参加した同社日本法人 ブライトコーブ株式会社のマーケティング&プロダクトマネジメント バイスプレジデント 須賀正明氏(写真右)は、トラフィック重視のトレンドについて次のように語っている。

 「企業・製品のブランディング、メディアでの広告販売、コマースサイトの運営と、Webサイトを任されている人たちが、トラフィックを増やすことを一番の目的にしてきているようです。広告について言うと、新しい広告商品を出すと広告単価を高く設定できます。でも、時間が経つとほかのサイトが真似して単価は下がってしまう。トラフィックが頭打ちのままでは、広告単価にイノベーションを求めても限界があるのです。だから、トラフィックを増やしましょうと。

 コマースもトラフィックが基本。コンバージョン率を上げる、客単価を上げる、というのも有効な施策ですが、新しいユーザーを増やさないとビジネスは広がりません。どんな業種でも、まずはトラフィックを増やすこと。その先に解析や滞留時間を増やすための施策があると考える企業が増えているのです。そこでサイトのトラフィックを伸ばすための手段を考えた場合、今考えられる主な手段は2つ。1つは検索、そしてもう1つがソーシャルです」

 「brightcove PLAY 2011」では、特に後者、ソーシャルをめぐる取り組みについて語られていた。中でも際立っていたのがハーバード大学の取り組みだ。

 同大学は「Harvard Gazette」や「Harvard Kennedy School」といったサイトで動画コンテンツを掲載。その動画プレーヤー内にFacebookの“いいね!”ボタンを埋め込んだだけで、サイトへのトラフィックが50倍に増えたという。

 Facebook人気は、もはや「アメリカの話」ではなくなってきた。日本でも利用ユーザー数は拡大中。socialbakersのデータによると、6月5日時点で約339万人となっている。(詳細:Japan Facebook Statistics)年明けから急増し、2倍近くに増えた格好。日本でもハーバード大学と同様の施策を打つことで、トラフィックを稼げるかもしれなくなってきているのだ。

 カンファレンスにはそんなFacebookの社員もパネリストとして参加。従来はFacebookのサイト内で投稿される“シェア”から生まれるトラフィックが多かったが、最新のトレンドとして外部サイトで押された“いいね!”から生じるトラフィックの方が優勢になっていると証言している。

「Facebookは時間を持て余すユーザーが利用」し、「体験を共有しやすいコンテンツが好まれる」

 「Facebookは時間を持て余している時に利用される傾向があるようです。Facebookを使っていても、慣れないうちは何を見ていいのかが分からない。そんな時にタイムラインに友達が“いいね!”と言ったコンテンツが表示されると『あの人はこれを見ているのか。それなら見てみよう』というモチベーションが働くのではないでしょうか。検索とは意図が全然違います。検索と競合するのではなく、互換する形でトラフィックが稼げるのです」と須賀氏はFacebookの特性についてこのように説明している。

 それとは別に、ソーシャルと動画の相性の良さについて、ハーバード大学のWeb担当者もカンファレンスで言及。企業が一方的に発信するコンテンツではなく、ユーザー間でコミュニケーションできるコンテンツ、例えばゲームや音楽、映画のトレーラーといった体験を共有しやすいコンテンツが好まれる傾向にあると分析した。

 つまり、「Facebookは時間に余裕のあるユーザーが利用」し、「体験を共有しやすいコンテンツが好まれる」。ハーバード大学が“いいね!”ボタンを加えただけで50倍ものトラフィックを獲得できた背景について、そのような仮説が考えられるのではないだろうか。

 なお、Facebookでは通常、タイムライン上にFlashコンテンツを読み込むことができない。だが、BrightcoveのプラットフォームはFacebookのホワイトリストに登録されているため、動画をFacebookのタイムライン上で読み込むことができる。

 さらに動画プレーヤーのレイアウトも自由。イギリスの小売大手Marks & Spencerなどは動画に関連する製品をプレーヤーの右側に配置し、製品ページに直接飛べるように工夫している(参考:Marks & Spencer TV

コンテンツを持っているだけでは広がらない。重要なのは種をまくこと

 海外ではハーバード大学やMarks & Spencerのように、Facebook+動画でトラフィックの獲得や売上増につながる施策を実現している企業が現れ始めている。しかし、「日本でFacebookと動画を活用して成功した事例はまだない」と須賀氏。

 アメリカの企業も恐れ知らずで新しいマーケティング施策に飛びついているわけではなく、もちろん炎上しないよう細心の注意を払っているという。動画以外にさまざまな取り組みにチャレンジしながら、モニタリングをして、問題が見つかったら修正する。当たり前の取り組みを着々と進めているのだとか。

 「一番大切なのは、種まきをすること。自分が積極的にコンテンツの種をまいていかないと、コンテンツを持っているだけでは広がりません。広げようと試みることが大切なのではないでしょうか」(須賀氏)

ネット対応テレビのアメリカでの普及率が40%へ。オンライン動画をテレビを通じて見る時代に?

 アメリカでの動画をめぐる動向として、もう1つ無視できないことがある。インターネットに接続できるテレビの出荷台数が伸びているのだ。

 単に「買ったらたまたま機能が付いていた」という理由で伸びているという側面もあるが、アメリカではテレビとインターネットのサービスをケーブルテレビ会社経由でセットにして利用している家庭が多い。そんな背景もあり、NetflixやHuluなどのオンライン動画配信サービスも好調だ。

 「来年の夏ごろには、アメリカ家庭の40%でインターネット接続対応のテレビが普及していると言われています。そうなった時には、『テレビで番組を見る』というよりも『コンピュータやiPad/iPhoneのアプリケーションを使う』という感覚で、アメリカの人はテレビを使うようになるかもしれません」と須賀氏。そうなればテレビは元々、動画を流すためのもの。Web用に用意していた動画もテレビを通じて見られるようになるのではないかと予見する。

 そんな近未来像を見据え、Brightcoveは韓国のLGエレクトロニクスと提携。LGのスマートテレビにも同社のプラットフォームを介して動画配信できるようになると発表している。

 「テレビでは高解像度の動画を見たいとユーザーは思うはず。その一方、スマートフォンで見る時は軽めの動画が好まれるでしょう。そうしたデバイスごとに動画を用意するとなると、大変な手間とコストが掛かります。それをBrightcoveのプラットフォームを使えば、オリジナルの動画ファイルをアップするだけで、視聴環境に応じて最適化して配信することができるのです」(須賀氏)

 日本でもインターネット接続できるテレビが登場しているが、アメリカと違って日本ではテレビをネットにつなげる家庭は少ないのではないか、と須賀氏は見る。従ってアメリカほど劇的な変化は起きないかもしれないが、今後を考える上で「スマートテレビが普及するかもしれない」という情報は頭の片隅に置いておいた方がいいだろう。

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この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2011/12/21 16:55 https://markezine.jp/article/detail/14718