【誤解4】「ゲームコンテンツをサービスに入れることである」

ゲーミフィケーション、時には「ゲーム化」という言葉で紹介されるこの概念は、直感的に分かりづらく、また誤解されやすい語感を持っています。そのため、やはりサービスにFlashゲームのようなゲームをコンテンツの1つとして取り入れる、というように認識されてしまうことが多くあります。
この連載をご覧の皆さんは、そのような誤解はしていないと思いますが、まだまだ一般的な認知は得られていないなと感じることも多く、啓蒙の力不足を実感します。
一方で最近、ゲームという概念自体が拡張して来ていると感じています。コカコーラ社「すごい自販機」やインテル社「Tweet City」のようなアドバゲーム。『幸せな未来は「ゲーム」が創る』の著者ジェイン・マクゴニガル氏らが実践している「代替現実ゲーム(ARG)」。そもそも、釣りやガーデニングといった一般概念をゲーム化したソーシャルゲーム自体も、ゲームの概念の拡張と捉えることができそうです。
単純な一人遊びの娯楽にとどまらないゲームが登場し始めていることは、ゲーミフィケーションというコンセプトが登場する背景とも密接に絡んでいるところです。
筆者個人としても、ソーシャル性を活かす試みとしてのアドバゲームや、リアル世界も巻き込んだ代替現実ゲームは非常に面白いと思います。「単純にFlashゲームを入れることではないんです」ということは言いきれるのですが、「こうしたゲームを作ることとゲーミフィケーションは違うのか?」と問われると、率直に言って悩む部分があります。
ですので、実はこの質問に対しての答えは、よく考えると意外に歯切れが悪くなってしまう面があります。現時点では、この誤解に対しては“本来のサービスの利用目的と関連性のないゲームを導入するということではない”と答えることにしておきましょう。
さて、今回はゲーミフィケーションにまつわる話題の中で、よく聞かれる誤解について説明しました。理解の途上にあるがゆえの誤解もあれば、ゲーミフィケーションという概念自体が様々な事例と共に変化・成長している状況であるがゆえの誤解もあります。後者に関しては、ひょっとすると誤解とは言えないのかもしれません。
概念が新しく登場し、浸透していく過程では様々な誤解が生じるのはやむを得ないことでしょう。ただ、実践する際に失敗をなるべく減らすためには、先人が既に解決してきた点をあらかじめ共有しておくことが重要です。ゲーミフィケーションの歴史はまだ短いですが、その中でも良い事例・悪い事例があります。そこからの学びを、皆さんとも共有していければと思っています。