アトリビューション分析とは
アトリビューション分析は、今やあらゆるオンライン集客設計の現場で語られる手法であり、広告集客効率と収益性の因果関係を紐解きながら、成果と予算効率を最適化する手法として試みられている分析である。
現在の利用例に垣間見る分析の内容を大まかに説明すると、Webサイトへの「流入経路」の履歴、ユーザーとの「外部」コミュニケーションの記録簿、とでも言えばいいだろうか。
オンライン上におけるユーザーとのコミュニケーション発生点には、知る・見る・調べる・比較する・選択する・Webサービス上で決済する(申し込む)など、ユーザーの「思惑」と行動が存在する。
その思惑とWebサイトの提供するサービスがつながった履歴=集客の接点履歴から、成果効率の高い最適な「外部」コミュニケーションシナリオを導き出すことが出来れば、最も効率の良い広告出稿媒体の配分や、より良い成果を生む施策シナリオの発見に役立つ。
では広告コミュニケーション分析とはまた違った「Web解析」の視点から見て、アトリビューション分析はどのように捉えるべきであろうか?
ユーザー行動とWebサイトの時系列接点
もちろん、Webサイト外部との接点(流入経路)解析は、一般的なWeb解析においても最も重要なKPI(Key Performance Indicator)の一つであり、Webサイトへの流入経路観測を意識していない運営者はいないだろう。
Webサイト運営における解析視点でのアトリビューション分析について述べる前に、まずはユーザーの消費行動について、細分化して考えてみたい。
オンラインやオフラインに関わらず、ユーザーがサービス利用に至るまでにさまざまな「迷い」が生じる。
商材認知に至る、プロモーション広告のプロセスは割愛するが、認知獲得からサービス利用行動に移行するプロセスには、その商材やサービスがユーザー自身の生活やビジネスシーンに組み込まれるイマジネーションを発生させる(想起)段階と、その商材やサービスが必要になり利用意欲が高まる段階がある。
それらのステップを通して、より成果に近い段階へと誘導する手段は広告訴求だけとは限らない。特にオンライン上でのコミュニケーションの場合、必要とする判断材料を検索エンジンや比較サイト、メディアサイトで「ユーザー自ら」思うがまま、アクティブな行動で情報を仕入れることができる。ここがポイントだ。
Webサイトにおけるユーザーとのコミュニケーションの現場では、ユーザー行動の発生タイミングに合わせ、Webサービスの認知から持続しているホットなモチベーション(あるいは保持した記憶)に対し、鮮度の高い更新性を武器にした「Webコンテンツ」によって、サービス利用に至るまでのユーザーアシストが可能なのである。
これらコンテンツへの誘導窓口となる施策の中心として、SEOやリスティング広告といったSEM(サーチエンジンマーケティング)、ディスプレイ広告などの手法があり、もちろんリアルの広告もその一つである。
ならば、アトリビューション分析で語られる「Webサイトとユーザー接点最適化」に、接触媒体と広告クリエイティブをかけ合わせた接触シナリオの設計があるように、ランディングページとなるWebコンテンツとユーザーのコミュニケーションシナリオにもまた、連動した設計が必要ではないのか。
実は、アトリビューションの概念に内包される思想の一部は、Webサイト運営管理とユーザー獲得最適化の中で、以前からすでに備わっているものでもある。
というのも、Webサイトのユーザビリティやコンテンツを日々チューニングする行為は、さまざまな消費(あるいは利用)行動ヒストリーの中で迎える「ユーザー心理の1シーン」各々に対し、次のステップへ誘導するためエンゲージメントを高めようと個別の最適化を行なっている施策に等しいからだ。
そこから更に進化し、ユーザーのモチベーション時系列に則した外部からの集客手法と、その集客を受け止めるコンテンツ設計にクリエイティブの因果関係をもたせ、Webサイト内外のモチベーション最適化連携(LPO施策)を意識することが、やがてユーザーにサービス利用の決断を即す「利用の背中押し」施策へと繋がる。
つまり、ユーザーの知りたい・調べたい、悩みを解消したい、価格を比較したいなど、さまざまなモチベーションに対して、コンテンツラインナップの拡張で丁寧に寄り添い、情報欲求に応えることが大切なのだ。
サイト外部のユーザー行動を解析した上で、アトリビューションを踏まえたユーザーの再来訪を意識し、コンテンツの展開方針を設計する際にもWebサイト「内部」コミュニケーションシナリオを構築すれば、ユーザーとWebサイトのエンゲージメントをさらに高めることができる。
日々のコンテンツの最適化作業は、まさに「Webサイト内アトリビューション」の概念とも言えるのだ。