グローバルでソーシャルメディアに注力
Q. ソーシャルメディア活用が始まった経緯や活用目的は?
高橋:フィリップスは60代~70代の方にはメジャーなブランドなのですが、もっと若い人にもリーチしたいという思いがありました。世の中の移り変わりに合わせて、オンラインに注力していこうという戦略があり、その中でもソーシャルメディアを活用していこうという動きが活発になってきたのが、2009年の終わり頃から。

今は世の中がそうだからというだけでなく、私たちがこれまで広告や営業活動では成し得なかったことができるとわかったので、日本に限らずフィリップス全体でソーシャルメディアに注力していかなければならないという戦略が掲げられています。
Q. 各ソーシャルメディアの使い分けや誘導方法は?
高橋:Twitterはあくまでも拡散するためのツールとして活用しているので、どこかからTwitterへ誘導するということはしていません。一方、Facebookに関しては、Facebook内の広告やコーポレートサイト、製品ページやブランドサイトから積極的に誘導しています。Twitterでの定期的なポスティングもしていますね。最近では製品カタログにもFacebookの案内を載せ始めました。
Q. コミュニケーションについてルールや気をつけている点はありますか?
高橋:まずフィリップスという立場として気をつけているのは、“炎上しないように、炎上しないことに気をつける”のではなく、どちらかというと“何でも受け入れる姿勢をとっていく”ということです。どんなものでも万人に好かれるということはないので、ネガティブな声も含め、すべてを受け入れて対応する姿勢を大切にしないといけないと思っています。
本社で用意されたガイドラインにも“ソーシャルメディアはリスニングツールとしても使えるものである”と書かれているので、そこは常に心がけるようにしています。
数十冊におよぶブランドガイドライン
Q. そのガイドラインについて詳しく教えてください
高橋:フィリップスには、オランダ本社で世界各国の状況を加味しながら作成された、独自のソーシャルメディアに関するガイドラインがあります。約70ページのうち、ソーシャルメディアを理解するイントロダクションの部分に最もボリュームが割かれ、その次に事前にセットアップしなくてはいけないもの、最後に運営についてまとめられています。
このほかにも、フィリップスはブランドガイドラインがしっかりしているので、使われる写真の善し悪しを視覚的に分かるようにしたものや、ロゴの使い方、パッケージやカタログ、展示会のブースやイベントのバックボードについてなど、ブランドガイドラインだけで数十冊ものガイドラインが用意されています。
Q. そんなに多くのガイドラインがあると運用が大変なのでは?
森迫:ページ数が多いので、最初のインプットの部分はもちろん大変でしたが、その代わり運営サイドに権限がもらえるので、むしろ今はやりやすい環境を作ってもらえています。基本的にはガイドラインを守りながらポストしていますが、イレギュラーなことが発生した場合は、メールなどで連携をとって対応しているので、特に問題はありません。ユーザーからのコメントには必ず返信をして、対話を大事にしながら運用しています。
高橋:ガイドラインを作るひとつの目的は権限委譲のためなんです。何もかも知っている人間がすべてをチェックするのは、現実的に不可能。事前打ち合わせをきちんとしておいて、ガイドラインに沿ってやってもらえれば、権限委譲ができるようになります。
あくまでもガイドラインなので、絶対にこうしなさいというわけではありません。コミュニティマネージャーを採用する際に気をつけるべきポイントも書かれているので、それをクリアしてお願いしている森迫さんには、信頼してすべてをお任せしています。