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ソーシャルゲームから学ぶ、マーケターがゲーミフィケーションを取り入れる近道とは

「ソーシャルゲーム」から学べること

 『ゲーミフィケーション ― <ゲーム>がビジネスを変える』(NHK出版)の著者、井上明人氏によると、ゲーミフィケーションは「ゲームの考え方やデザイン・メカニクスなどの要素を、ゲーム以外の社会的な活動やサービスに利用するもの」と定義されています。

 これだけ見ると、ゲームを知らないとゲーミフィケーションの手法を取り入れられないということになってしまいます。しかし、長年ゲーム業界がつちかってきた膨大なノウハウを、未経験のマーケターが短期間で習熟することは、現実的に不可能です。ゲームそのものを作りたいわけではないのですから、何か別の近道はないのでしょうか?

家庭用ゲーム、ソーシャルゲーム、Webサイトを比較

 みなさんはソーシャルゲームで遊んだことはありますか? 実際にソーシャルゲームをやってみると、「うまいなぁ」と感じるポイントがたくさんちりばめられているのに気が付くと思います。

 深田浩嗣氏は、MarkeZine連載記事『ゲーミフィケーション入門』で、「ソーシャルゲームはゲームメカニクスとソーシャル性の活用事例、双方のノウハウがたくさん詰まっている」と述べています。それは絶妙なプレイ時間であったり、課金アイテムの出現するタイミングであったり、ユーザー同士のコミュニケーションの仕掛けであったり…と多岐にわたります。

 ここを整理することで、マーケターがゲーミフィケーションを活用するためのヒントを見つけることができるかもしれません。一般的な家庭用ゲーム、ソーシャルゲーム、Webサイトの3つを比較して表にまとめてみました。

  • プレイ時間…家庭用ゲームはプレーヤーが好きなだけ遊ぶことができますが、ソーシャルゲームは数分で体力がなくなるようにできており、プレイ時間は短く設定されています。ひとつのWebサイトに数時間いるということは考えにくいので、Webサイトのプレイ時間は「短い」としました。
  • リピート欲求…家庭用にせよソーシャルにせよ、おもしろくないと感じたゲームではリピート欲求(≒依存性)は下がりますが、おもしろいと感じたゲームではクリアするか飽きるまでは、高い頻度で繰り返し遊ばれます。一方、頻繁にアクセスするWebサイトは必要に応じた検索エンジンなど、ごく一部に限られます。
  • ゴール…家庭用ゲームではゴールが設定されていますが、ソーシャルゲームにはストーリーもの以外、通常ゴールはありません。
  • アクション…一般ユーザーがPCやスマートフォンから利用することを想定したソーシャルゲームやWebサイトでは、コントローラーを使う家庭用ゲームに比べ、複雑なアクションはほとんどありません。
  • 課金モデル…家庭用ゲームは先にソフトや本体を購入しないとプレイできないのに対し、ソーシャルゲームは基本無料、任意のアイテム課金で遊ぶことができます。
  • フィードバック…家庭用ゲームやソーシャルゲームでは、遊び続けていくことでレベルアップやアイテムを獲得するなど、さまざまなフィードバックが用意されています。
  • データの保管…家庭用ゲームはゲーム機本体の、企業には手の届かないユーザー側にゲームデータが保存されます。

 この表を見ると、ソーシャルゲームは家庭用ゲームとWebサイトの間にあり、よりWebサイトに近いと言えます。さらにWebサイトに明らかに欠けているものは「リピート欲求」と「フィードバック」の2点であることが分かりました。ここを強化することがWebサイトにゲーミフィケーションを取り入れる最大の理由だと言えるでしょう。

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世界的なカードゲーム設計者が示す「ゲームに必要な10のこと」

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/04/04 11:00 https://markezine.jp/article/detail/15289

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