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デジタルマーケティングの未来を探る「Adobe Digital Marketing Summit 2012」

「マネーボール」マーケティング。予測マーケティングがどうゲームを変えるか、その展望と課題


予測分析の5つのポイント

 予測分析はウェブサイトに対する多くの疑問に回答することができます。いくつか例を見てみましょう。

  • 過去4か月に商品AとBを購入した人では、どちらのほうがより商品CやDを購入するだろうか?
  • どのカスタマー群にどういったメッセージでメールマガジンを送ると効果が一番高くなるのだろうか?
  • ユーザーが商品を購入するか/しないかの判断になっている最も重要なサイト内の要素は何か?
  • 今後6か月でどれくらいの売上が見込め、それは目標を達成しそうなのか?
  • 施策を実施することによって発生するリスクを予想できないか?

  予測分析とその前提となるデータマイニングにはいくつかの分析ポイントがあります。ここで、その5つのポイントを紹介します。

1. 特異値分析と相関
統計的に優位な特異値(全体のトレンドから外れた値)を見つけます。これら特異値が発生する原因を探るために他の変数との相関を調べましょう。そしてこの特異値が今後も発生し得るのか、もし発生する場合は、いつ頃どのような条件で発生するかを予測しましょう。

2. マーケティングセグメント(ユーザークラスタリング)
訪問者を意味がある(=施策につなげられる)変数でグルーピングを行います。そしてそのグルーピングされた単位で効果の予測を行いましょう。そして、アドビ システムズのA/Bテストと多変量解析テストツール「Test & Target」に、グループごとに出すコンテンツを設定し、テストを行ってみましょう。

3. ユーザースコアリング
ユーザーがコンバージョンする可能性を、確率を分析して割り当てていきます。こちらも今後のコンバージョンの予測に利用したり、Test & Targetに取り組む際に、スコアごとに最適なコンテンツを表示したりしましょう。メールマガジンの配信にも応用が可能です。
(※筆者注:実際にはスコアだけで最適なコンテンツを選択するのは難しいと思われるので、スコア×コンバージョンまでの距離や商品カテゴリといった別の変数とセットでの配信が必要です。)

4. ソーシャル効果の予測
主に3つの活用方法があります。1つ目はTwitterでつぶやく前の予測。過去の反応から想定されるインプレッション数や感情(ネガティブな反応数・ポジティブな反応数)を予測します。2つ目はキーワード発掘。つぶやきなどに追加するべき、効果につながりやすいキーワードを見つけ、その効果を予測します。最後はコンテンツの時間減衰です。つぶやいた内容が有効(=見られる)のは何時間・何日間かを把握し、発言タイミングなどに活用します。

5. マーケティングモデルミックス
オンラインデータ・オフラインデータ、そして直接サイトでは取得していないが、サイトの売上などに影響を与えるデータ(例:天気・株価など)を統合してアトリビューション分析を行います。売上最適化・利益最適化といった複数のシナリオをもとに最適な広告配分と予測を行い、流入施策間の相互作用を分析します。

予測分析の課題

 これらはいずれも予測分析とデータマイニングの活用や改善につながるポイントであり、現在のツールや技術でも実現することができます。しかし、まだ非常に難易度が高いものばかりです。分析にかかる工数やコスト、増え続けるデータ、分析モデルのブラックボックス化、分析と施策が非接続の状態、そもそも分析のスキルを持っている人がいない。これらは課題のほんの一部です。

 つまり、現在の分析は人・物・金が必要なのです。しかし、将来これらは緩和されていくことでしょう。使いやすいツールやわかりやすいアウトプット、施策との連動、分析パワーのさらなる増大によって、時間とコストの削減を実現できる時代が必ずやってきます。

 その過渡期においてチャレンジを進めていこうとする会社もあるでしょう。そういった会社にとって、次のポイントを押さえることが成功へつながると考えられます。「モデルをなるべくシンプルにする」「継続的かつ綺麗(=正しい)データ」「処理能力が高いシステム」「人間の経験と新しい分析の相互利用」「サイトの改善プロセスへの組み込み」「小さな成果から始め、それを大勢に伝える」といったことが大切になります。

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サイト改善の新たな武器「リアルタイム予測最適化」

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この記事の著者

関根 将成(セキネマサナリ)

さすらいのフリーライター。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/18 17:01 https://markezine.jp/article/detail/15459

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