Wantedlyで転職する気のない超エリートエンジニアが動いた
川崎さんと仲さん、実は同じ外資系投資銀行の出身だが、Wantedlyで出会うまではお互いを知らなかったという。

「Wantedlyのことは、2011年9月の仮ローンチがメディアで取り上げられたのを見て知りました。1月30日に本リリースされると、今度はFacebookにWantedlyの『ウォンテッド』が流れてきたのでクリックしたんです。当時、転職する気はまったくなかったんですが、近くに住んでいたので軽い気持ちでエントリーしました。すると仲から、『一度遊びに来てください』と連絡があったんです」
お互い、第一印象は「クールな人だな」だったそう。その後、川崎さんがウォンテッドのオフィス移転を手伝ったり、1週間休暇をとって新機能を追加するなどして親睦を深め、転職に至った。
決め手となったのは、「実際に働いてみてよかったから」。フィーリングだという。外資系投資銀行でエンジニアチームのマネージャーを務めていた川崎さん。通常の転職活動であればエージェントから高給オファーが殺到しただろうことは間違いない。しかし彼は、ウォンテッドに出会う前には転職する気などさらさらなかったのだ。
「デキる人ほど転職市場には出てこない、というのはもはや定説です。そうした転職潜在層でかつ自社に合った人材にアプローチする場が、今、求められていると思います」(仲さん)
有料クライアントやユーザーが増えても、ビジョンは変わらない
現在、採用企業には営業をかけていないという。理由は、「Wantedlyのビジョンに共感してほしいから」。
「Wantedlyでは、たとえ有名企業であっても、中の人たちに相当がんばっていただかないとエントリーしてもらえません。ビジョンに共感していただけない方に使っていただいても成果が出にくいので、とにかくがむしゃらに売るという営業はやらないですね」
Wantedlyの法人向けメニューは、大きくわけて3つ。「ベーシック」「ビジネス」「エンタープライズ」で、後ろ2つが有料版だ。しかし今のところ、無料の「ベーシック」の利用がほとんどだという。
「会社の存続にかかわるので(笑)、もっと有料メニューを使っていただけるように頑張ります。一方で、とても優秀な方たちにユーザー登録していただいているので、それを活用した別展開も視野に入れています」
2012年5月10日現在、15,000人が登録。Webクリエイターはもちろん、大規模SIerのエンジニアや有名大学の学生など、ハイスペックな人材が多いという。
「もちろん、ユーザーの数が増えるにつれて属性は変化していくでしょう。でも、それで質が落ちたり、マッチングの精度が下がったりすることはないと考えています。ソーシャルメディアのつながりがモノを言うからです。Facebookのユーザーが増えても、自分の周りは自分に関係がある人たちしかいませんよね。 Wantedlyも同じようになるはずです」