4年間の歴史のまとめ
今回、この記事を書くに当たって各ゲームのリリース時期なども調べたのですが、この4年間を大きく分けると4つの時代に分けることができました。
- 2008年下半期〜2009年上半期が「個人開発とR&Dの時代」(黎明期)
- 2009年下半期〜2010年が「ゲームメーカー移植の時代」(市場形成期)
- 2011年が「本格ゲームとソーシャルゲームの時代」(市場拡大・前夜)
- 2012年上半期が「ソーシャルゲームの時代」(市場拡大)
これらの区分けからわかることは、2010年まで従来のゲーム市場とほぼ同じ流れで市場形成されていたのに、ソーシャルゲーム業界がフィーチャーフォンからスマートフォンに段階的に移行したことにより、2011年にパラダイムシフトが起きてしまったこと(本来の流れであれば、リッチクオリティのゲームが市場に拡大していたはず)です。
また一方で、あまりにもその流れが急速だったため「スマートフォンゲーム=ソーシャルゲーム」と同一視されてしまっているという弊害も起きています。
歴史を振り返ることで、未来を予測する
もちろん、このパラダイムシフトや参入メーカーの拡大による市場の拡大を、誰も予想できなかったわけではありません。2009年から2011年にかけてのDeNAやGREEの動き、海外市場の動向を追いかけていれば予想できた未来です。つまり過去の歴史や今を見ることで、今後のスマートフォンゲーム業界がどうなっていくのかはある程度予想ができるはず。また一方で(今回は振り返りませんでしたが)、ソーシャルゲーム業界の動向も加味する必要があります。
さて、そんな風に考えた場合、私自身は大きく分けて、3つの流れが今後に存在すると考えています。
ハイブリッド型ゲーム
古典的でタッチ操作と相性のいい3マッチパズルに、ソーシャルゲームの手法を導入した「パズル&ドラゴンズ」や、コンシューマタイトルにも負けないボリュームを無料で提供し、そこに日本型ソーシャルゲーム的な要素を追加した「CSR Racing」。これらのタイトルのようなハイブリッド型のゲームが増えていくはずです。
フィーチャーフォンにおいてソーシャルゲームが台頭した一番の理由は、結果までのレスポンスの速さ、カタルシスが従来のゲームより格段に早かったことです。従来のゲームであれば、貯めて貯めて貯めて……ようやく結果を得るという速度だったのに対し、ソーシャルゲームは、場合によっては結果のみであったりします。これが速度の速い現代において非常に合っていました。
それを考えるとただ単にミニゲームを付けただけでは、このテンポが崩れてしまいます。もしこの方向でゲームをつくる場合、「触っているだけで気持ちがいい」というスマートフォンを初めて持ったときの感触をいかにゲームに落し込むかが重要になります。2009年や2010年に存在したようなフリック&タッチを主体にしたゲームに、日本型ソーシャルゲームのシステムを組み込んだものが市場を制覇していくのではないでしょうか。
アニメーション+サウンドのリッチ表現
現在の上位ゲームを見ると、コンシューマ的なキャラクターアニメーションとサウンドを実装しているものがほとんどです。元々のコンピュータゲームの歴史を見ても、静的なゲームから動的なリッチ表現へとシフトしていったのは比較的早い段階でした。ましてや携帯ゲーム機が普及している日本では、今後これらのゲームと比べられるのは必然です。
その一方で、静止画のカードイラストも重要な位置付けです。これは単純に、アニメーションの場合「ヌルヌル動いているな」というのは一般的には伝わらない部分ですが、「カードイラストが綺麗だ」というのは、非常にわかりやすいからです。ですので、カードイラスト+コンシューマゲーム的なアニメーションという形に落ち着いていくのではないでしょうか。またサウンドに関しては、曲を入れること自体は簡単なので、コンシューマの世界では、昨今フルボイスが当たり前なように、キャラクターボイスを入れたゲームが増えていくと思います。
