携帯ゲーム機とのマルチプラットフォーム展開
現在の1タイトルの開発費と市場規模を考えると、コンシューマ携帯ゲーム機単体で収益を上げるのは難しいというのが実情です。そこでスペック的には見劣りせず、携帯するという意味でも同じスマートフォンとのマルチプラットフォーム展開というのは、今後増える可能性が高いでしょう。
とくにマシンスペックを必要としないようなアドベンチャーゲームなどは、非常に可能性が高いでしょう。物理ボタン操作とタッチスクリーン操作の違いというのがあるので、この点をクリアした新しい操作方法の発明は必要ですが、アドベンチャーゲームであれば比較的用意ですし、ニンテンドーDSなどでも採用されているようにタッチ操作自体は、すでに成熟した操作方法です。
問題があるとしたらコンシューマゲームとの単品価格差ですが、現在コンシューマゲームでは1年後に廉価版が出るというのが普通ですし、開発会社に実際に入る金額を考えると、スマートフォンでの販売額が2,000~3,000円台での半年ほどずらしてのマルチプラットフォーム展開というのは現実的な話です。
2011年下半期から2012年にかけては、大きくはこの3つの流れを中心に、従来のソーシャルカードゲーム的なものや、採算を度外視したとしか思えないR&D側面の強い、時代を先取りしすぎたゲームが広がると予想しています。
コンシューマでもソーシャルでもない、ハイブリッドな知識が必要
とはいえ、作り手側としては手放しで喜べないというのが正直なところです。現在でも開発期間と開発資金は年々どころか1か月ごとに上がっているというのが現状です。前述の3つの流れを考えた場合、1タイトル開発するのに、平均5,000万~6,000万円。開発期間としては1年未満くらいが主流になるわけで、ますます出せば売れるという市場ではなくなり、博打的なことができない精度が求められる市場へとなっていきます。またコンシューマゲーム的な知識だけでもなく、ソーシャルゲーム的な知識だけでもないハイブリッドな知識が必要となっていきます。
まだまだ黎明期を脱したばかりというのがスマートフォンゲーム市場の現在ですので、ここから本当の戦いが始まります。デバイスの進化速度もそうですが、市場の動きも激化していきます。その中で勝ち残るためには、現在、何に経営資源を投下し、会社として何のノウハウを貯めていくのかがますます重要となるでしょう。
