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Excelビジネス統計~アンケートの設計と分析~

売上にもっとも影響を与えているのは接客、立地、品揃え? 重回帰分析で改善の優先順位を決める


要因分析の方法:分析ツールの[回帰分析]を使う

 単回帰式同様に分析ツールの[回帰分析]を用いることで、目的変数(売上高)に最も影響を与えている要因を探します。

重回帰分析の手順

1.[データ]タブの[データ分析]をクリックし、[分析ツール]を開きます。[分析ツール]の[回帰分析]を選択し[OK]をクリックします。

 2003の場合は、[メニューバー]の[ツール]を選択し、[分析ツール]をクリックし、[回帰分析]を選択し[OK]をクリックします。

2.ダイアログに従い、[入力Y範囲]に売上高のデータを、[入力X 範囲]に接客から立地までのデータを選択します。ラベルを含んでいますので、[ラベル]にチェックを入れて、[OK]をクリックします。

3.出力結果は以下のとおりです。 たくさんの指標がありますが、ここでは、特に以下の4つを押さえるようにしましょう。

  1. 回帰関係の有意性
  2. 回帰係数と回帰式
  3. 回帰係数の有意性
  4. 寄与率
本コースは、入門編ですのでF分布、t分布や分散という言葉の説明は割愛します。機会がございましたら中級編以降でご説明させてください。

重回帰分析で押さえたい指標1:回帰関係の有意性

 回帰によるばらつきと、残差のばらつきを統計的に比較して、回帰式の意味がどれぐらいあるかを検定した結果を示しています。有意性とは、情報として有用な意味があるかどうかということです。

 有意Fとは、回帰の分散の大きさを統計的に判断した結果を示す数値です。確率分布(F分布)上での確率値を示しており、この数値が小さいほど回帰の分散が残差の分散に対して大きい、つまり回帰で求めた回帰式の意味が大きいことを示します。

 通常0.05(=5%)以下であれば回帰の分散が十分大きいと判断します。このケースでは、3.44E-05なので、0.05よりも小さいので回帰式を求める意義は十分あります。

重回帰分析で押さえたい指標2:回帰係数と回帰式

 売上高を求める重回帰式は、単回帰式の時と同様に係数の数値を用います。

売上高=130.20+(132.92×接客)+(90.87×品揃え)-(3.49×面積)-(42.65×立地)

重回帰分析で押さえたい指標3:回帰係数の有意性

 t:係数をその標準誤差で割った数値で、各係数に対応する変数が統計的にどれぐらい目的変数yに影響しているかを示す数値です。t値は理論的に、-∞から+∞の値をとります。t値の絶対値が大きいほど重回帰式に取り入れても大丈夫ということです。

 実務的には、tの絶対値が1.4以上あれば効いている変数で、変数「面積」の0.62のようにゼロに近くなるとあまり効いていない変数と判断します。

※係数も影響度の指標として使えそうですが、単位の影響を受けるので影響度としては使えません(後述します)。
ここがポイント

目的変数に対する影響度はtの絶対値を見る! tの絶対値の値が大きいほど、目的変数に対する影響度が大きくなります。

重回帰分析で押さえたい指標4:寄与率

 重決定R2:重相関係数を2乗した値で、重決定係数(または寄与率)といいます。回帰式によって全データの何%を説明変数で表現できているかを示します。重相関係数と同様に、回帰式に含まれる変数が多いほど値が大きくなるという傾向をもちます。

 補正R2:重相関係数や重決定係数が持つ変数が多いほど値が大きくなる傾向を修正した数値で、自由度調整済寄与率といいます。重決定係数 から次の式で求められます(ここではデータ数は説明変数の数です)。

 このケースでは、補正R2は0.752なので、売上高の変動のうち75.2%(自由度調整済寄与率)は、「接客」「品揃え」「面積」「立地」の変数で説明できるということを表します。

次のページ
売上高に効いている要因は何か? t値をグラフで視覚的に捉える

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この記事の著者

末吉 正成(スエヨシ マサナリ)

株式会社メディアチャンネル 代表取締役。

慶應義塾大学経済学部卒。統計解析を駆使したWebマーケティングが専門。「見るサイト」から「使えるサイト」をモットーにWebサイトの付加価値を高めるコンサルティングを得意とする。

主著に「EXCELビジネス統計」(翔泳社)、「Excelでかんたん統計分析」(オーム社)、「事例で学ぶテキストマイニング」(共立出版)、「Excelでかんたんデータマイニング」(同友館)、「仕事で使える統計解析」(成美堂出版)がある。

所属:言語処理学会、日本行動計量学会、品質工学会

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/20 17:34 https://markezine.jp/article/detail/16294

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