KPO活用の3つのポイント
連載の最後を締めくくる今回は、KPOを活用しビジネスを成功に導くための3つのポイントを紹介したい。ポイント1:「自社とKPOベンダーの関係」
最初のポイントは自社とKPOベンダーの「関係」、すなわち、双方の立ち位置である。単なる発注先と委託先という関係では、期待した成果を出すことは難しい。
KPOでは、自社のコア業務に関する、いわゆる極秘情報をKPOベンダーとシェアしながら、時間をかけてプロジェクトを共同運営し、ともに設定したゴールを目指すことになる。したがって、必然的にKPOベンダーをビジネスパートナーと位置づけ、KPOベンダーが持つ業界、業種に関する様々なナレッジを発注者側は最大限吸収、活用できるような関係と会議体を含むコミュニケーションパスをKPOベンダーと構築することが理想的である。このような観点から、欧米系企業はKPOを活用する際に、KPOベンダーと複数年のパートナー契約を締結するケースが非常に多い。

ポイント2:「情報共有」
ふたつめのポイントは「情報共有」である。委託先であるKPOベンダーと自社の企業理念、基本戦略、ビジネスモデルと経営リソース的、施策実行上の制約条件(予算、コールセンターの運用力、Webサイトポリシー、個人情報管理ポリシー等)をできるだけ正確にKPOベンダーと共有する。
そのうえで、プロジェクトオーナーを決め(できれば役員クラスが望ましい)、今回のプロジェクトのゴールとKPIをKPOベンダーと共同で設定、確認した上でラフなWBS(Work Breakdown Structure)を作成し、概算予算を決定する。そして、ゴールに到達するための仮説導出に必要と思われる、現在自社が保有しているデータとソース(出元)、データの意味、そして、社内には存在せず新たに収集しなければいけないデータ(主に調査データや競合ベンチマークデータ)とその収集方法を明らかにする。
また、似たようなゴールを設定し過去に行ったプロジェクトの成功事例、失敗事例をこの段階でKPOベンダーと共有し、なぜ成功したのか、なぜ失敗したのかの考察を徹底的に行うことも重要な情報共有である。