「LINEで何かしたい」企業のゴール設定は?
今やLINEに公式アカウントを持つこと自体が、一種のステータスになっているように思う。そして「LINEで何かしたい」企業はとても多い現状だが、LINEという手段が一種の目的化してしまっているのではないかと古賀さんに問いかけてみた。実際にLINEマーケティングを実践している企業は、どのような目標設定を行っているのだろうか。
「公式アカウントに関していうと、やはり店舗がある際は来店促進に非常に効果的です。数値保障をするというものではないですが、もちろん実績も出ています。
まず大前提として、LINEのユーザーは国内3,200万人。電話番号に紐づているサービスなので、バーチャルアカウントは存在せず、リアルなユーザーがいます。そういった意味では、LINEはスマホのマスメディアという立ち位置ですね。スマホは、一番いまユーザーにとって近いメディアだと思います。どんな時もほとんど手放さないメディアであり、一番身近な情報を取得するツール。
どこの企業もスマホで何かやりたいと課題に思ってはいますが、いまいちそのやり方が見えない現状にいます。その中で国内3,200万人のユーザーがすでに存在していて、絶対的なリーチ力をもつLINEの告知力は、まずクライアントに満足していただけるところですね」

「LINEはまだ成長過程なので、現段階で言い切ることはできませんが、ゆくゆくはLINEにアカウントさえ企業はもてば、もしかしたらスマホメディアを自前で持つ必要はない、そんな時代がくるかもしれません」
LINEの魅力は圧倒的なリアルなユーザーを抱えていること。そして、LINEに公式アカウントさえ作ってしまえば、クライアント側はシステムの運用などを意識する必要がないことも、魅力の一つだろう。国内3,200万人のユーザーが存在するプラットフォームで何ができるのか。
クリック率やサイトへの誘導が数値指標として掲げられているインターネット広告とは異なり、LINEマーケティングは来店促進を促すなどより具体的な効果を出している。ここにLINEに注目する企業はポテンシャルを感じているのだろう。
1か月で約158万人の友達が増えた資生堂「ワタシプラス」
先に触れたように、LINEの来店促進のパワーは店舗を持つ企業にとっては非常に魅力的だ。では、店舗をもたない企業は、LINEマーケティングでどのような効果を感じているのだろうか。

「最近の例をあげると、資生堂さんのワタシプラスというサービスですね。このサービスの告知の際に、LINEユーザー限定でプレゼントなどを用意したプレゼントキャンペーンを実施。一種のキャンペーンサイトをつなぎ役として、LINEの公式アカウントでメッセージを配信し、そこでワタシプラスのサービスを紹介し、もっと知りたい人はこちらというかたちで誘導をかけるなど行いました。このような形態はこれからどんどん増えていくと思います。店舗を持たないメーカーなどのクライアントは、クーポン発行以外の手段でも、LINEを起爆剤として使うこともできるでしょう」(古賀さん)
LINEユーザー限定でのプレゼントキャンペーンは、毎回数万人単位の応募が集まっている。同様にワタシプラスのLINE公式アカウントは、9月末地点で友達数が200万人を突破しており、前月比で約158万人も増加した。費用が高いと言われているLINEマーケティングだが、クライアントは費用対効果に満足し、納得感を持っているようだ。
マーケティングプラットフォームの理想的なあり方
国内外に数多くのファンを有するLINE。そのユーザーからの支持を得つつ、マネタイズを行っていくマーケティングプラットフォームとしての理想的なあり方をたずねた。
「LINEの使われ方は友達・恋人・家族が8割以上です。そのようなプライベートツールの中に、企業メッセージが入ってくるとユーザーにとってストレスになる可能性は高いです。なので、公式アカウントのメッセージの頻度は週に1回とかプッシュしすぎないように配信頻度や内容をコントロールしています。ユーザーにとってストレスがない状態で、企業と友達になってもらう。これはプラットフォームづくりとして、意識しています。
また、大前提としてLINE公式アカウントをやってもらうにあたって、まずLINEユーザーに具体的なベネフィットを提供してもらうことを企業にはお願いしています。店舗がある企業であればクーポン、店舗を持たない企業であればLINEユーザー限定のキャンペーンなど、何らかのベネフィットを具体的になければ、ユーザーが企業のメッセージを受け取るのはまだまだ現実的ではありません」