リ・アロケーションの考え方
では、次にコンバージョンパスデータをどういう切り口で分析するのかという点に迫る。
「例えばだいたい月間1万CVくらいあがる場合、そのパターンは9,000通りくらいに分かれる。だから、コンバージョンへ至る、特定の勝ちパターンを見つけるのは、とてもむずかしい。そこで、今日は分析することでなぜコンバージョンが増えるのか、増えるように操作できるのかについて話していきたい」と有薗氏は解説を始めた。

「上記の資料の『無料』は自然検索などの広告ではないかたちで広告主サイトに訪ねている経路、『有料』はリスティングやバナー、アフェリエイトなどの広告からの経路を示している。そして、『ラスト』は一番最後にクリックした媒体、それ以外を『初回/中間』とし、4パターンに分けて単純化している」(有薗氏)
(1)無料→無料→CVのパターンは、広告ではないので投下量を増やしたりなどコントロールできない。
(2)無料→有料→CVのパターンは、今までのアクセス解析/広告効果測定ツールで効率化ができる。
(3)有料→有料→CV(4)有料→無料→CVの2パターンの場合、第三者配信エンジンを活用し、コンバージョンパスデータをインプレッションまで含めて把握することで、効率化する余地が出てくる。
「うまくいった場合、だいたい20%くらい効率がよくなる」と有薗氏は語る。例えば、1,000万円の予算投下で1,000件CVがとれていた場合だど、同額1,000万円の投下で1,200件CVが獲れるようになるそうだ。
さらに具体的に見ていこう。

「実際にあった新規マンションの例をあげる。流入経路Aは初めに比較的入札金額の高いビッグワード「新規マンション」というキーワードでは流入してクリック。(CPC:1,000円)その後、離脱し、次にミドルワード「新規マンション/渋谷」というキーワードで流入してクリック。(CPC:100円)最後にスモールワード「新規マンション/渋谷/2LDK」というキーワードで流入して、実際に今度は資料請求してコンバージョンした。(CPC:50円)この場倍、1CV獲得するためのCPCは1,150円かかっている。
一方、流入経路Bは初めの流入のきっかけがDSPのバナーであった。(CPC:100円)ここが流入経路Aとの違いであり、CPCは250円。
つまり、同じ1CV獲得するには、リスティングだけ行うよりも、DSPも組み合わせていったほうがCPCが900円も安くなることがわかる。
この結果から、初回でクリックされやすいDSP広告のクリエイティブ・媒体を分析して、出稿量を増やしていく。同時にビッグワードの出稿量を減らしていく。このようにマネジメントすることによって効率よくコンバージョンを増加させることができる」(有薗氏)
つまり、ビッグワードなどのリスティングではCPCの高い部分の広告費を、DSPを活用して、効率的でで安い広告に入れ替える。このことを「リ・アロケーション(再配分)」という。では、実際に導きだしたデータ分析をもとに、リ・アロケーションを実際に行うことは可能なのだろうか。
「大きい変化はいきなりはむつかしいだろう。例えばテレビスポットを、2000GRPのところを1800GRPに減らして、200GRPをWebへシフトする程度であれば、おそらくやってみようとなる。それがいきなり2000GRPを500GRPへ、その半分の金額をWebにつぎ込んで同じ効果が得られると言われても、二の足を踏む」と葛西氏は語る。
広告主側も期待はしているものの、やはりドラスティックに大きく施策を変えるには躊躇してしまうようだ。導きだされたデータをもとに、まずは少しずつ再配分を行い、パフォーマンスがあがるかをみていくといった状況のようだ。