世界中のCMOが重視する「ROIの説明責任」
浅野氏が4点目に挙げたのは、「ROIの説明責任」。IBMが世界のCMO 1,700人以上に「マーケティング活動の成果を測定するために用いている(用いる予定の)、重要な評価指標」は何かと尋ねたところ、最も多い63%が「マーケティング費用対効果(ROI)」を選んだ。
成果を数字に置き換えられるデジタルでキャンペーンを行う以上、ROIの説明責任は確実に求められ、CMOにとって避けては通れないものだと浅野氏は話している。
「マーケティング領域へのテクノロジーの活用」で、一連の要件を現実のものに
ここまでに挙げてきた4つの要件を満たしていくためには、マーケティング領域へのテクノロジーを活用することが重要。冒頭でも軽く紹介したが、IBM自身がマーケティング活動を顧客起点に切り替えることで、受注に至るまでの割合を劇的に改善させた。
「マーケティングを自動化するため、統合マーケティング支援ソフトウェア『IBM Unica』を導入し、あるキャンペーンを実施しました。セミナーを開き、参加者にはアンケートを取り、レスポンスの有無を登録しました。アンケートに答えてくれたら、24時間以内にはお礼を伝えるとともにホワイトペーパーがダウンロードできるWebサイトのURLを連絡。実際に見ていただけたお客様だけにROI計測に使えるツールをご案内し、それも確認いただけたら訴求製品に関するデモビデオのリンクを貼ったメールを送りました。そうしてお客様の製品に対する興味度を調べながら、最終的にはIBMのコールセンターからオペレーターが電話。本当に興味があるお客様のところにのみ営業するようにしています」
以前は約46万件のリードに対して受注にまでこぎ着けたのは8件だった。それが顧客起点に切り替えた後、約10万件のリードから61件もの契約を締結することに成功している。
「顧客起点のマーケティングに対しては、ネット中心の新興企業様からも高い関心を感じますし、リアルでの販売チャネルが中心のブランド企業様からも『対応しないと顧客が奪われてしまう』という危機意識を感じます。
顧客起点のマーケティングと言うとB2C企業向けとイメージされる方もいるでしょうが、当社の事例から分かるようにB2B企業にも必要なこと。B2C、B2Bの枠にとらわれず、“B2I”(Business to Individual)という考え方が必要なのです」