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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

ビッグデータ活用の現場から

「ビジネスゴールの達成が全て。ビッグデータは必ずしも“ビッグ”である必要ない」 席移動からはじまったITとマーケティングの融合

「ビッグデータは“ビッグ”でなくていい」

 編集部:なるほど。では「攻めのIT」を実現できる人とは、どんな人ですか。

 西郷:最近、世間では「データサイエンティスト」の要件が語られていますね。でも少しハードルが高い気がします。例えばFacebook社が募集した「データサイエンティスト」の要件をご覧ください。

Facebook社の募集要項
  • 定量的アプローチを用いて分析的な課題を解決した豊富な経験
  • 多様なソースからの複雑で、大量かつ高次元のデータを容易に操作し、分析できること
  • Python,PHPなど、少なくとも1つのスクリプト言語を自由に扱えること
  • RDBとSQLに精通していること
  • R,MATLLAB,SASのような分析ツールについて専門知識を有すること
  • 大量のデータセットを扱った経験、MapReduce,Hadoop,Hiveなどの分散コンピューティングツールを使用した経験
株式会社リクルートテクノロジーズ  菊地原 拓氏

 西郷:「技術」と「分析」両方求めていますよね。でも分析技術ひとつとっても高度なものばかりで、両者を兼ね備えるスタッフは、少なくとも当社にはいないんです。ですから当社では「これらの要件をひとりで賄うのは無理」だと割り切り、チームや組織で担保しようと考えています。

 編集部:割り切りが重要ですね。

 西郷:加えて必要なのが、事業目的を達成させる力です。本来、技術力も分析力も、事業の目的を達成するための手段に過ぎません。でも「プログラムできます」というと「すごい!」となる(笑) ビジネスの課題から情報活用を企画し、その手段として統計やプログラミングを活用して、具体的な施策につなげなければなりません。

 菊地原:理想の人材は、三角形の面積が広い人です。少なくとも、どれか1つがゼロだったらダメ。

 編集部:だいぶハードルが高い気もしますが(笑)……。

 西郷:どれか1つでもゼロだと、事業部やチーム内での会話が断絶してしまいます。「100・100・0」よりは「90・90・10」の方が望ましいです。

 また三角形の面積を広げるため、必要なのが吸収意欲です。10のスキルを、経験のなかで20や30に伸ばしていけるか。数年後には大きな三角形をもった人材が生まれるといいな、と思っています。

株式会社リクルートテクノロジーズ  菊地原 拓氏

 菊地原:以前、「そもそもビッグデータとは何だろう」と考えたことがあります。ある論文では「これまでの組織や技術では扱うことが困難なサイズのデータ」と定義していました。理解はできましたが、この定義は少しネガティブに聞こえました。

 ですから私は「新しい技術を駆使して、分析・活用すべきデータ」だと捉え直しました。例えばスマートフォンが生まれたことで、「誰がどこにいるか」というデータを集めることができました。データが大きいかどうかではなく、新しい技術でないと解析できないデータが生まれていることが、「ビッグデータ」という言葉の裏にあるのだと思います。

 編集部:「ビッグデータ」と聞くと“膨大なデータ”という定義をしがちですが、必ずしも「ビッグ」でなくてもいい、と。

 菊地原:はい。「データ」である必要はありますが「ビッグ」でなくてもいい。大切なのは、分析技術を使って何を達成するのか、を押さえることだと思います。ビジネスの目的を達成することがすべて、ですから!

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組織を細分化するべからず!85名の大所帯が新たなプロジェクトを生んだ

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この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/03/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17058

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