LINEスタンプ施策で、300万人にリーチできる媒体を手に入れた
現在のエイチ・アイ・エスのLINEの友達数は338万人(2013年2月4日時点)。公式アカウントを開設後、LINEキャラクターとのコラボスタンプを提供したことで友達が約300万人ほど増加した。
「今まで私たちは、新聞とテレビ、そして店頭以外で、一つの媒体で300万人にアプローチできるチャネルを持っていなかった。LINEの公式アカウント開設により、スマホというデバイスで若者を中心に300万人にリーチでき、かつプッシュ配信できるメディアを新しく持つことができた」(石原氏)

そして、このLINEキャラクターとのコラボスタンプ施策にかかった広告費ついての見解をうかがったところ、「約300万人にリーチできるメディアとして考えると、費用対効果のパフォーマンスは見込めると認識している」と石原氏は述べる。
これまで、エイチ・アイ・エスではフィーチャーフォンのモバイル会員を中心に、約10年でおよそ100万人の会員を集めてきた。その間のコストを考えると、100万人の会員を獲得するまでにはそれなりの費用がかかっている。
「スタンプの配信後、1か月で約300万人という驚異的なスピードで友達数が増えた。10年かけて投資するか、1か月で投資して回収するか、その違いだ。時間をお金で買うと考えると、十分に費用対効果に見合っている。
またLINEでは300万人に向けて、プッシュでメッセージが配信できる。若者の新聞離れと言われている今日、若い人に向けて大量にメッセージを届けることができると考えると、新聞に投資するのと同程度の額までは、LINEに投資しても悪くはないと考えている」(石原氏)
LINEマーケティングはO2O施策に直結するか?
エイチ・アイ・エスは国内に営業所を270店舗以上抱えている。インターネットでの旅行の購入が増える一方で、依然として店舗の営業力は強い。
LINEで行っているマーケティング施策が店舗への顧客誘導、すなわちO2O施策としての成果があるのかとたずねたところ、「正直、厳密な効果の実測はむずかしいが、O2Oでの効果は少なからず見込める」と石原氏は応える。

「店舗への誘導効果という点では、顧客がどこで旅行に対するモチベーションを認識し、喚起されたかというポイントが重要になる。旅行は低頻度高単価商材であり、必ずしも即決して購入に結び付くとは限らない。LINEをみて、どこかで旅行っていいよねって話題が起きる。その後で色々な変遷があって、最終的にお店に来店する。その際に『LINEを見てお店にきた』とはたぶん言ってもらえない。
O2Oでいうと、オフライン(店舗)に人が送れているかというと、そこはまだ検証が必要だ。ただ、我々のビジネスは店舗に行かなくても購入できるので、効果は見込むことができる。『短期間に情報をリーチさせたい期間限定のメッセージにはLINEが効果的』と社内ではそんな認識をもっている」(石原氏)