SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

ビッグデータ・マーケティング

ビッグデータ活用のためのIT投資、妥当なラインは? 外部・内部側から見た「付加価値」で考える


 ホットトピックス「ビッグデータ」について、経営学、経済学、社会学などの知見を交えながらマーケター向けに解説します。

「付加価値」に混在する、2つの意味

 今回のテーマは、付加価値です。価値ということばについて、かつてマイケル・ポーターはこう述べています。

企業が創造する価値は、買い手が製品またはサービスに対して喜んで支払う金額の全体によって測定できる。もし製品の創造する価値が価値活動を実行するコストを上回るならば、企業は利益を得る。競争業者に対して競争優位を得るには、企業はこれらの活動を、より低いコストで行うか、あるいは差別化や高価格(価値が高い)を実現するかを行わなければならない。(Porter, 1985,p.150)

 ここに、ポーターの競争戦略のエッセンスがあります。

 付加価値ということばで気をつけなければいけないのは、そこに2つの意味が混在していることです。それは、顧客サイド(外部)からみた場合の付加価値と、マネジメントサイド(内部)からみた場合の付加価値の2つです。

 前者は「上司から付加価値の高い製品を作れといわれた」などという際に使われる一般用語で、このときの「付加価値」は、製品(またはサービス)に付随するプラスアルファ部分を指しています。たとえば、デジタル機器に欲しいソフトがバンドルされていたなどが典型例で、顧客は売価に見合った期待を超える部分が大きいほど、それだけ「喜んで支払ってくれる」ことになります。

 後者は(本来の付加価値の意味はこちらですが)、P/L(損益計算書)の費目から付加価値を計算するもので、バリュー・チェーンのなかで当該企業のオペレーションによって新しく付加された部分を指します。計算方法には2つの考え方があって、利益から必要な費目(内部オペレーション部分)を積み上げていく「加算方式」と、売上高から外部調達部分を減じて特定する「控除方式」があります。

ビッグデータによる付加価値創出

 ビッグデータは、どのような付加価値をもたらすのか? この問いに答える際も、上記にならって考えるとわかりやすくなります。ビッグデータの対象範囲は広いので、以下ではマーケティング関連を中心にみていきましょう。

 1つ目の「顧客サイドに立った製品・サービスに対するベネフィットの付加」はどうでしょうか。CRM(Customer Relationship Management)の一環としてサービスを付加する、さまざまなアイデアが浮かびます。ビッグデータ活用の例では、スマホから位置情報を得て、店舗近くにいる顧客にクーポンを配布するサービスなども考えられます。これは、顧客の購買履歴からもっとも興味を持ちそうな商品を紹介する、従来の「レコメンデーション」機能の発展系ともいえます。

 ただし、CRMが行き過ぎると「顧客を口説くのではなくストーキングすることになる(Stalking, Not Wooing, Customers)」(Rigby et al.,2002)と以前から指摘されており、顧客の位置情報の利用に対し「ロケハラ」という造語も生まれています。ビッグデータのマーケティング活用では、一歩間違うとプライバシー侵害になる危険も孕んでいます。

 2つ目の「企業内部にもたらす付加価値」はどうでしょうか。最もわかりやすい内部活用例は、ビッグデータを取り込んで意思決定を高度化するというものですが、もう少し具体的に、省力化と増力化の側面からみていきましょう。

1日集中特訓! 9月20日「Excel徹底活用!アンケート設計と分析」講座開催

★データに強いマーケターを目指して、まずはアンケート設計とExcelデータ分析から始めましょう★

「プッシュ型リサーチの代表「アンケート」を効果的に活用するために必須の、ビジネス統計を学びます。論理的なアンケート設計、マーケティングに必須の統計の知識、Excelを使ったデータ分析の三本柱を身につければ、あなたも明日からデータに強いマーケターになれるはず!

★☆★講座「Excel徹底活用!アンケート設計と分析」の詳細・お申し込みはこちら★☆★

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
P/Lの構造から付加価値増大部分を可視化する

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ビッグデータ・マーケティング連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

佐々木 宏(ササキ ヒロシ)

立教大学 経営学部教授。

筑波大学 経営・政策科学研究科修士課程、大阪大学経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。金融系シンクタンクにてマーケティング・リサーチ、経営コンサルティングなどに従事後、大学教員になる。マーケティング・リサーチ、データマイニング、eビジネス、IT産業の国際比較などが専門で、大...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/06/27 17:51 https://markezine.jp/article/detail/17201

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング