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Owned Media Report~オウンドメディアマーケティング戦略の潮流

「スマホは10分以内で購入完了が8割。PCとはニーズがまったく異なる」 スマホファーストを推進するANAのオウンドメディア戦略

 企業のオウンドメディア活用の実態をお伝えする「Owned Media Report」。今回は、2012年度ウェブサイト価値ランキング2位にランクインし、国内でも有数のブランディング&ECメディアを運営する全日本空輸を訪ねました。Webテクノロジーを利用したオウンドメディアコミュニケーション戦略やスマホファーストのコミュニケーションについて聞きました。(聞き手:松矢順一氏)

今回お話を伺ったのは…
全日本空輸株式会社 プロモーション室 マーケットコミュニケーション部
主席部員 前田欣伸氏

2008年4月よりANA WEB販売部に所属。社内コミュニケーションサイト運営、モバイルサイト、スマートフォンサイト企画並びにサイトマネージメントを担当。

スマホ経由のアクセスが昨対比200%の現実

 ── まず、御社のオウンドメディアの状況について教えてください。現在のPC/スマートフォン(以下、スマホ)利用者数はどのぐらいの規模となっているのでしょうか?

 現在のPC利用者数推移は40万UU/日と500万PV/日です。スマホは16万/UUと100万PV/日で昨対比200%での推移となっております。

 ── スマホ利用者数の伸びがすごいですね。続いて、グローバルサイトとしての機能について教えてください。 国数、言語数はどの程度対応されているのでしょうか。また各エリアでの対応領域と、コントロールタワーとしての役割は何だとお考えでしょうか。

全日本空輸株式会社 前田欣伸氏
全日本空輸株式会社 前田欣伸氏

 36か国、21サイトで展開しております。2011年4月にグローバルでの予約エンジンのリニューアルをしました。コンセプトは「多言語多通貨」です。そのリニューアルで7言語(日・独・英・仏・中(2言語)・韓)対応が可能になり、それぞれの国の言葉、通貨で利用可能な環境を整えました。

 プラットフォームや各国共通のプロモーションやページ関しては、ヘッドクオーターである東京で管理しております。各国ローカルのキャンペーンや告知などローカルで対応できる範囲に関しては現地対応でサイト運用をし、横串でのグローバルなキャンペーンや新運賃、新商品紹介などはヘッドクオーターで情報管理・発信をしております。

 ── 次に御社のオウンドメディア戦略についてお伺いさせてください。ECサイトでありながら、ブランディング機能を網羅するのは難易度の高い運営方法だと思います。どのような視点でオウンドメディアマーケティングを進められているのでしょうか。

 最も大切なのは航空券を購入するお客様です。そのお客様が迷うことなく、スムーズに航空券を購入していただくことが最優先のポイントです。よって、トップページには予約機能が設置されていて、航空券購入を検討しているお客様の導線を第一に設計しております。

 一方で、多数のお客様にお越し頂いているサイトとして、ブランドを感じてもらう点にも重点を置いております。航空券を購入するタイミングでないお客様にも、日々来訪して頂くためのキャンペーンを展開しております。これまで自社サイト内でANAフレンドパーク、旅達空間などのコンテンツや、C2Cコミュニケーションの場も提供してきました。 また、ソーシャルメディアが発達してきたため、お客様とのコミュニケーションをFacebookやTwitterを通しても行っております。

 自社サイトとソーシャルでのコミュニケーションを、円滑により効率的に進めていくためにアクセス解析やデータ分析が重要になると考えております。サイト内のお客様の導線分析だけでなく、サイト外も分析を試みることでマスメディアとの連携も含めた導線設計にも取り組んでいきたいと考えております。

 ── オウンドメディアマーケティングを実行する組織のスタートから現在に至るまで、内外環境の変化と体制の変化はありましたか。

 私たちの部署は、元々は1997年にチャネル企画部として立ち上がり、事業開発の1セクションとして数人程度でスタートしました。その後、2002年に国内線の航空券のEコマース売上シェアが3割を超えたタイミングで、WEB販売部という部署が立ち上がりました。

 それから10年経ち、一般航空券の中でのインターネット販売シェアが約70%となり、大部分の販売をWebが担うまでに成長しております。昨年4月にはお客様とのコミュニケーションをさらにに活性化するために、ソーシャル×Web×マスメディアを一体化させた部署としてリスタートしました。相乗効果は非常に高く、各プロモーションでの連動がスムーズになりました。

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

松岡 清一(マツオカ セイイチ)

株式会社FIXER 代表取締役社長

証券会社システム、自治体情報化コンサルティングを経て2009年11月にWeb Consulting Firm FIXERを設立。Webサイト構築に関わる企画・戦略立案~運用・更新までのプロジェクトマネジメント業務をワンストップで実現し、Webコンサルティングファームとして、そしてCSV(Cloud solution vendor)として、良質なコミュニケーションを提案。

2011年8月には、Windows...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/03/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17219

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