ほほえましいブログの実現に必要なストイシズム
――1時間10分ですか!どうしてもカメラ目線が取れない動物はいるんですか?
基本的なルールとして、真正面からは撮らないんですね。だから唯一カメラ目線が撮れないのは、首が回らない動物なんですよ。
――ははは、それは面白いですね。動物は子どものころから好きだったんですか?
子どものころから家でいっぱい動物は飼ってたんですよ。インコやかめ、金魚もいたし、にわとりが産んだたまごを食べて育ちましたし。ちっちゃいころから動物は大好きでしたね。
―― 一番好きな動物は何ですか?
ハシビロコウには特別な思いがあるんですよね。ハシビロコウって全然動かないんですけど、今だ!と思ったときにくちばしでバクっと魚を食べようとするんですね。でもいつも成功するかと思えば、体がよろけて魚を逃がしちゃうこともあるんですよ。それが実に人間らしいなと。でもまあまたチャンスがくればいいやって待ってるんですね。そこが自分によく似てるなと思ったんですよ。

――面白いと思う動物園はどこですか?
ここはすごいなと思ったのが、愛知県岡崎市に東公園動物園ってあるんですよ。入場無料なんですけど、そこにふじ子ちゃんっていうゾウがいて、珍しい方法でお客さんがゾウにえさをあげられるんです。お客さんからゾウの足元までにベルトコンベアがあって、りんごをのせてハンドルを回すと、りんごがツーッとゾウの前まで流れていって、それをゾウが待ち構えてて鼻で食べるんですよ。ただ12時くらいからゾウにエサをやれるんですけど、ゾウはくるぞっていうのが分かっていて、もう30分前くらいからベルトコンベアの前で待機してるんですけどね。
――ははは。そういう工夫している動物園っていいですよね。
がんばってる動物園が好きなんですよ。よく行くのは、茨城県日立市の、かみね動物園。決して大きい動物園じゃないけど、ゴリラがいるんですね。そのゴリラに退屈させないために、動物園の方が知恵をしぼって、いらなくなったホースをパイプに結びつけて、ジャングルジムをつくったんですよ。派手じゃないんですけど、がんばってる感じが好きなんですよね。
――単行本が発売されましたが、今後「動物チラリズム」で企画していることはありますか?
世界版をやりたいですね。世界に行って、野性のハシビロコウと、サバンナのキリン、あとはマンドリルの写真をとりに行きたいです。でもこれはすごく大変ですよ、まずマンドリルを見つけることから始めないといけないですから。
――もう、ハンターですよね(笑)。最後になりましたが、やきそばさんにとって、最高のチラリズム写真は何ですか?
そっぽ向いてた動物が180度振り向いてる写真ですね。これはすごく難易度が高いんですよ。「振り向きシリーズ」って言ってるんですけど、これがとれたら最高に嬉しいですね。

う~ん、いい顔! 今日はありがとうございました。
(おわりに)
やきそばさんは、動物園に詳しすぎるほど詳しくて、どんな質問をしても答えが返ってきて、しかも面白いエピソードが次々出てくるすごい人でした。動物チラリズムのブログはほほえましい雰囲気ですが、裏側の運営をするやきそばさんは超ストイックで、そのギャップに驚きました。書籍(『動物チラリズム―趣味は人間観察ですけど…?』)も発売されて、これから活躍されるのは間違いなし!と断言しておきます。
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