SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

世界各国のマーケターがSLCに集結!「Adobe Digital Marketing Summit 2013」

「できないことをもはや技術のせいにできなくなった」マーケターに投げかけられた課題とは?【Adobe Summit2013:ユーザー特別対談】

ツールや技術はできた。次はユーザー企業の組織的な課題を議論するべき時だ

―今年のAdobe Summitに参加して、どのような点が最も印象的でしたか?

島:一番記憶に残ったのは、やはりクラウドとの連携が去年よりも更に一気に進化していたというところですね。

 去年のAdobe Summitでも、部分的ですがケビン・リンチ CTOが入稿データをドラッグ・アンド・ドロップでCQにアップするデモを見た時は感動的でした。今年は、その機能が全ツールに波及されている状況でした。あのインターフェイスを見たら、Adobeが「コラボレーション」と言っているのは嘘じゃなくて、本当に起きているのだなと感じました。

 昨日、アカウント・マネジメントの担当者と、米国で開発担当された方と会ったのですが、これまでの開発からがらっと変わったこのインターフェイスの変更は、トップダウンで変えられた状況だったらしいですね。

 また、エグゼクティブの基調講演やデモから、今まで見えなかったAdobeの方向性がはっきり見えてきたと感じました。

 やはり我々は現場のプレイヤーなので、ツールをごそっと入れるのはハイリスクです。ですから、今までの資産をうまく使いながら、どのように進化していけるかを考えないといけません。Adobeの「オールインワン」の提案は魅力的ですが、現実的にはすぐには導入できません。自社の導入済みのツールと提案されるツールを自分たちでうまくつなぎ合わせながらソフトランディングすることが一番大事だと思っています。

 今回、デジタルマーケティングの製品群がマーケティングクラウドとして5つにまとめられました。それによって、各々の戦略的な機能がシームレスに連携できるようになってくれたことで、自分たちでつなぎ合わせていたコストが不要になるのはうれしいことです。これによって、IT的なコストや、カスタマイズ部分を維持するための人件費を削減し、マーケティング思考に時間を費やすことができます。

 また今回のサミットでは、今までの製品のテクノロジーではできなかった機能がたくさんできるようになっています。つまり、「できない」ことを技術のせいにはできなくなってきたのです。これはすごいことと思いましたね。

小川:最後に島さんがおっしゃった事に近いのですが、Adobeからユーザー側にボールを投げられたという気がしています。

 今まではツールが連携してないからとか、活用できないことに対して、いろいろな理由や言い訳がもろもろありました。それが、「ツールや技術はある、理想的なマーケティングを実現できるような世界はできました」という状況になりました。このことにより、今後はおそらく各企業側がこれにどう対峙していくのか、そもそも高度なマーケティングをやるのかやらないのかも含め、判断をしていかなければいけなくなります。

 つまり、あとはもう組織の問題ですよね。基調講演のなかで幾度も語られたように、テクニカルな課題はAdobeのツールで解決できるようになりました。そして人の問題はワークフローの連携ツールで解決するとは言っていますが、人の部分はツールだけでは解決できません。結局は自分たちの会社の中の組織や、責任範囲、そこにコミットするかどうかという判断が重要になってきます。

 縦割り組織の課題についても、Adobeは「サイロ(縦割りの組織)」を破壊して、連携すべきと話していましたが、これには良い面と悪い面があると思っています。基本的には壊すべきだと考えますが、壊してコミュニケーションを取るべきタイミングと、壊さない状況でがんばるべきタイミングがあるはずです。マーケティングもソーシャルも部署を全部ひとつにして皆で一緒に考えましょうとやっても、絶対うまく行かないと思っているのですよね。それより、縦割り組織を壊さなくても、異なる役割をつなぐパイプがあればいいと私は思っています。パイプをどこに引いて、どのくらいで流しこんでやるかといった整理が必要だと思います。

 日本に合ったマーケティング最適化をするためにはどういう体制にすべきか、その辺の議論がようやくできはじめるのかなと感じました。

次のページ
戦略的でシンプルな米国のツールが生まれた思想を知る

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
世界各国のマーケターがSLCに集結!「Adobe Digital Marketing Summit 2013」連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

大山 忍(オオヤマ シノブ)

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。

2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベストプラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/05/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/17436

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング