Search Engine Strategies New Yorkに行ってきました
2013年3月25日~3月28日、 ニューヨークで行われた世界最大規模の検索エンジンマーケティングイベント「Search Engine Strategies New York」(以下SES)に参加してきました。3日間を通して、100人以上のスピーカー、60以上もの専門的なセミナーが行われる検索エンジンマーケティングのプロやマーケターが集まるカンファレンスです。
特徴的なのは女性のスピーカーが非常に多いということ。こんなところでも日本と米国の女性の社会進出の違いを見受けられます。重要なセッション、トピックを選び、日本企業のSEOにも役立つ情報をお届けしたいと思います。
Jim Boykin:Content, Panda, Links Penguin, Authors etc
米国では有名なSEOのエキスパート、Jim Boykinのセッションがありました。テーマは、Googleのパンダ、ペンギンアップデートについてです。
米国で行われた統計調査によると、パンダ、ペンギンアップデートでランキングが落ちたサイトの73%はいまだに順位が回復していないとのことです。ちなみにセミナー会場には数百人がいたのですが、アップデートによるペナルティをリカバーしたのはわずか1名でした。
パンダ、ペンギンアップデートを踏まえた、今後のGoogle対策で重要になるであろうシグナルとして、pogostickingについての解説がありました。pogostickingとは何か。Google検索を行って、どこかのウェブサイトに訪れたとします。そのランディングページに役に立つ情報がなかった場合、ユーザーの多くはブラウザバックで再び検索結果に戻り、他のコンテンツを探します。この一連の行動がpogostickingです。
pogostickingが多いサイトは、検索キーワードとウェブサイトの内容に不一致が起きているか、ウェブサイトの質が低いと考えられます。Googleにマイナスのシグナルを出しているようなものです。
pogostickingを回避する具体策として、以下が挙げられました。
- タイトルタグ、メタタグ、ランディングページの内容を首尾一貫させる
- 明確なcall to actionを設置する(ランディングページの滞在時間が短くても、サイト内の他のページに移動すればpogostickingとはなりません)
- 対策キーワードとランディングページのコンテンツを一致させる(当たり前のことですが、検索キーワードとコンテンツが不一致のウェブサイトはたくさん存在します)
またJimは、SEO対策を行う側の課題だけではなく、今Googleが直面している課題にも言及していました。最近、Googleはソーシャルシグナルの分析に積極的です。Google+の普及やブログなどの執筆者の著作情報を積極的に検索結果に反映させています。ランキングの大部分を占めるリンクはどうしてもねつ造されやすいという背景があり、よりねつ造されない(されにくい)シグナルとして、コンテンツの著作(どの権威が書いたかが重要)やソーシャルシグナルを活用し始めいるわけです。
コンテンツの重要性がトピックスにあがったところで、会場からこんな質問がありました。「自社にはコンテンツライターがいないがどうすればよいか?」 もっともな質問です。
Jimからの回答はこうでした。
「まず、今後のSEO対策として、コンテンツの充実は必須であることをマネジメント側に伝えて、コンテンツ作成のための予算を検討してもらうべきだ。要するにSEOのためのコンテンツではなく、検索エンジンマーケティングのためにコンテンツが必要なことを会社に訴えるべきだ。
どうしてもそれが難しい場合は、SEOとリスティング広告の予算からコンテンツ予算をねん出するべきである。なぜなら良質なコンテンツはSEO対策に対してだけではなく、リスティング広告のパフォーマンスも向上させることになるからだ」
確かに、SEOだけのためのコンテンツ作成と考えると本末転倒ですが、良質なコンテンツのために予算を割くことは、ウェブサイトに訪れるすべてのユーザーにとって有用なのではないでしょうか。