レゾナンス:消費者の気持ちを変化させる
二つ目はブランドレゾナンスについて。広告に接触した消費者が、そのブランドへの意識をどう変容させたのか、という観点だ。
ここでダグ氏は、消費者が広告をみて、そのブランドに対する認知・意識の変化に関するニールセンの調査結果を提示した。それによると、Facebook広告は、広告の想起とブランド認知度がオンライン全体の平均よりも効果が高いという結果であった。

上図はオーストラリアの日産リーフに関する認識度の変化を捉えたもの。このキャンペーンの結果、この車のブランドへの認知度が22%あがった。ブランドレゾナンスの観点からいうと、ブランド認知度を上げることによって、ブランドの業績を上げていくことができる。
リアクション:実際の売上につなげる
「三つ目はリアクション。ここがみなさんの一番関心のあるところでしょう。これからブランド広告のリアクションについて説明していく」とダグ氏。
ここで、ダグ氏は米国でのFacebookにおけるユーザーのアクティビティとオフラインの購買データーを組み合わせた、データロジックス社の事例を提示した。

上の図は、米国のデータロジックス社が使用している測定ソリューション。左側は個々の消費者がどんなFacebook広告をみたかというデーター、右側は各小売店のポイントカードや登録カードをもとにどんな購買行動が行われているかといったデーターを蓄積している。それらを消費者コードにより、データーを合わせて分析できるようになっている。
つまり、データロジックス社はFacebook広告での消費者の行動と、実際の小売店での消費社の行動を合わせて分析しているのだ。日本では未導入の分析ツールだが、これはオンラインとオフラインをつなぐ画期的な分析ツールと言えるだろう。
「実際にこのツールを使って、Facebookで実施された60以上のキャンペーンを分析した結果、70%以上のキャンペーンで3倍以上の広告費回収率を達成した。さらにFacebook広告の約半分、49%は広告非費回収率が5倍以上だ」とダグ氏は語り、Facebook広告が売り上げへ貢献していることが実証されていることを示した。
今日のアトリビューションへの注目度の高まりからもわかるように、デジタルマーケティングに携わる人は、広告効果を測定する指標としてCTRが万能ではないことに感覚として気付いているだろう。
業界の共通指標CTRに置き換わる新しい広告効果測定指標とはどうあるべきなのか。そしてどのような視点から測定ツールを開発していくべきなのか。今回ダグ氏から提示された3つのRという観点は、この課題への一つの解と言えるだろう。