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ブランド保護観点から論じるDSPとオーディエンスターゲティング【アドべリフィケーション対談】

2013/05/17 18:30

 アドテクノロジーの普及により、広告配信方法の進化が進んでいる。一方、テクノロジーの普及スピードと企業側のニーズが合致しているかというとそうとも言えない状況にあり、特にブランド保護の観点では課題が浮き彫りになりつつある。今回の対談では、アドベリフィケーションをテーマに、大和ハウス工業の大島氏、cciの広屋氏にアドテクノロジー活用における課題やこれからについて聞いた(聞き手:松矢順一)。

日本でオーディエンスターゲティングが一般化する2つの条件とは?

写真左:サイバー・コミュニケーションズ(cci) 取締役執行役員 広屋修一 氏 
写真右:大和ハウス工業 総合宣伝部 デジタルメディア室 室長 大島茂 氏
写真左:サイバー・コミュニケーションズ 取締役執行役員 広屋修一 氏 写真右:大和ハウス工業 総合宣伝部 デジタルメディア室 室長 大島茂 氏

 ── 本日はよろしくお願いします。はじめに、オーディエンスターゲティングのメリットと国内での課題について広告主側、サービス提供側それぞれの視点から教えてください。

 大島:現状メディアが提供しているメニューで言うのなら、ある程度の潜在層にアプローチする手段としては、ヤフーさんの行動ターゲティング広告は効果が高いと思います。

ヤフーの行動ターゲティング概要
ヤフーの行動ターゲティング概要

 では、国内でオーディエンスターゲティングが実現できているかというと、オーディエンスデータの量が十分ではない状況だと思います。ただ、アドテクノロジー市場自体は活性化しているので、DSPを含めた各種サービスが次々と出現している印象ですね。つまり、「枠」から「人」へというキャッチコピーが表すような、本来の意味でのオーディエンスターゲティングの世界が実現できていない状態であり、その結果、本来発揮できるであろうパフォーマンスにもつながっていない印象を持っています。

大和ハウス工業 総合宣伝部 大島茂 氏

 本来の意味のオーディエンスターゲティングが日本に根付く条件は次の2つだと考えてます。

  1. 出稿した場合どのメディアに配信されるのかを明確にすること
  2. オーディエンスデータが流通すること

 オーディエンスデータを開示しているメディアもありまして、そこのデータを使用したオーディエンスターゲティングをテストしてみるとコンバージョンが高く効率がよいという結果も出ています。しかし、データの母数が少ないため継続して利用することは難しいと感じます。そういった点を考えると、国内最大のメディアであるヤフーさんがオーディエンスデータの提供を開始すれば、今の状況は劇的に変わるのではないでしょうか。

 結論としては、日本ではDSPというサービスは普及しつつあるが、オーディエンスデータが少ないため、本来の意味でのオーディエンスターゲティングにはまだまだ遠い状況だと言えると思います。

 広屋:人気の高い従来型の広告スペースはすぐに売れてしまいますが、余りのスペースも発生します。そのような広告スペースを購入するきっかけを作れる、在庫がショートせずにご提供できるという意味で、売り手側としてはありがたいサービスと言えます。

 大島さんのオーディエンスデータへの指摘は非常に悩ましいところではあります。米国のようにプライバシーに関するルールがはっきりしていると、提供する側も迷いなくオーディエンスデータを提供できると思いますが、日本はプライバシーに関するルールの設計が米国ほどクリアではありません。現状、オーディエンスデータが流通していない大きな理由はそこにあると思います。

 カード会社さんやショッピングモールさんといった業態の方々からは、オーディエンスデータを提供することを明らかにしないでほしいとお願いされることもあります。また例えば、リアル店舗やネット店舗で事業も行っている企業さんの場合は、データをお預かりできたとしても、活用する際にその事業とバッティングがないかどうか、広告掲載可否確認と同様にデータの利用確認が必要なケースがあります。そうなると、どうしても調整が必要となり、なかなか最終的な利用許可の決断ができない場合も多いです。

 そういった状況の中で、自社データを活用してビジネスを拡大したいという声が増えていることも事実ですが、十分なデータが流通するにはもう少し時間がかかるかもしれません。

 大島:私の立場からすると、ぜひその流れを加速してもらいたいと思います。EC・通販などダイレクトレスポンス系のビジネスを展開されている企業さんはもちろん、我々のような耐久消費財系の企業もオーディエンスデータには関心が高いと思います。

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