既存顧客のデータを分析し、新規顧客へのアプローチに活用する
「クリエイティブのテストができるようになったことも大きい」と田村氏は話す。同じ属性の顧客に異なる内容のメールを出し分けて、効果の高いものを精査している。その他、例えば前年に父の日のプレゼント需要で購入し、今年は買わなかった顧客にメールでアンケートを取るなど、ピンポイントな意見の収集にも「カスタマーリングス」を活用している。
「業務上でも、これまでは異なるツールで行っていたメルマガ配信、クリック率やコンバージョン率の計測などがカスタマーリングス上で一括して管理できるようになったので、とてもスムーズになりました」(田村氏)
同ツールの導入は、新規顧客獲得のための分析力の強化にもつながった。「これまでのデータを元に、年齢や性別といった属性だけでなく、膝が痛いなどの悩みをお持ちなのか、もしくは父の日のプレゼントに贈りたい、といったマインドなども含めてどういうお客様がどの商品を購入されているのかを分析し、仮説を立てて新規顧客へのアプローチに活かすことができるようになりました」と外園氏。
新規顧客の獲得自体には、商品ラインアップも重要だ。「美・皇潤」や、主にWebで告知している「Sense of Eternity」シリーズなどは、より低年齢層に向けて開発したもの。年齢層が低くなるほど、Webでのアプローチの有効性も増してくる。より効果的な策を早く見つけ出すために、カスタマーリングスの高い分析力が大いに役立っている。
新しい顧客を振り向かせるために
今後の展望について田村氏は、「さらにお客様に喜んでいただくために、一人ひとりのライフスタイルに合わせたアプローチを追求していきたい。細かにセグメントすれば、メール一通でももっと心に響く内容にできると思います」と話す。
加えて若年層の獲得も、長期的な課題だ。例えば「皇潤」には高齢者向けというイメージがあるため、まだ自分たちが高齢者だと思っていない60代にはターゲットだと思われにくい。「この認識を変えられれば、まだリーチできていない方々にも試していただけるのではないかと思っています。加えて、ギフト需要の開拓も強化するため、プロモーション施策をいろいろと検討しています。全購買層の平均年齢を50代くらいまで引き下げられれば」(権丈氏)
着手すべきと見据えている事柄は幅広いが、適切なCRMシステムの導入により、1年前よりも同社のマーケティングが深化していることが見てとれる。とはいえ、「まだ試行錯誤の段階」だと外園氏。「仮説通りにいかないのがお客様の心理かもしれませんが、カスタマーリングスを導入するまでは、仮説の検証自体がなかなかできない状況でした。顧客情報、売上情報に加えてメールの反応や結果、さらにはアンケート回答内容まで、すべてのデータが一元化できるようになったことで、今では複数の細かな施策のPDCAを回せるようになりました。今後はさらにマーケティングを精緻化し、お客様との関係を強化したいと思います」
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