SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

次世代広告コミュニケーションの秘訣

ネイティブ広告は有益なコンテンツに成り得るのか?新しいマネタイズ手段としての米国伝統メディアの取り組み

ネイティブ広告は有益なコンテンツに成り得るのか?

 ネイティブ広告の落とし穴は、やはり編集と広告の境界があいまいになることである。編集記事を装った広告記事が増えたりすると、メディアサイトの信頼を喪失しかねない。それだけに、ジャーナリズムを重視した一流の伝統メディアともなれば、編集の独立性を主張し、ネイティブ広告に否定的な態度をとるはずと思われた。ところが、NYタイムズ、ワシントンポスト、フォーブス、エコノミストといった、高級新聞や高級雑誌までがこぞって、オンラインサイトでのネイティブ広告に乗り出したのだ。

 その背景には、一流の伝統メディアでも、経営的に厳しい状況に追い詰められている現実がある。また一方で大手広告主は、オウンドメディアを立ち上げたりして、影響力のある人たちに自らのメッセージを伝えたいと動き出している。そのために信頼のある一流メディアサイトと連携したいのだが、従来の広告枠の利用では消費者に無視され、伝えたいメッセージが届きそうもない。そこで、大手広告主もネイティブ広告に期待を寄せているのだ。

 ネイティブ広告にもっとも早く乗り出した伝統メディアとしては、フォーブス(Forbes)が知られている。2010年11月にBrandVoiceプログラムを立ち上げた。マーケター(広告主)が自作のコンテンツでForbes読者(消費者)と直接つながり、対話も実現できるサービスである。フォーブスのサイトには現在、SAP、Xerox、Oracle、NetAppなど 大手広告主13社のネイティブ広告記事が連載されている。

Forbesサイトに掲載されているネイティブ広告記事例
広告主はNetApp。この記事はソーシャルメディアで数多く共有されていた。フォーブス読者から記事に対するコメントも多く寄せられ、広告主のライターがそれに答えていたりしている。

 編集記事と並んで同じフォーマットで提供される広告記事がフォーブス読者に容認してもらうには、編集記事としても通用するレベルのコンテンツが求められる。そのためSAPやNetAppは、それぞれネイティブ広告向けコンテンツの執筆陣として約20人を確保している。ほぼ半数が広告主社内の投稿者で、残りが社外のゲストライターである。平日には毎日一本のペースで新しい広告記事を投稿している。BrandVoiceの広告料金は月間5万ドルから7万5000ドルの間で、少なくとも3か月間継続することが条件となっている。それらの広告記事をいくつか閲覧したが、フォーブスの編集記事といわれてもあまり違和感がない。読者からの評判も高く、フェイスブックやツイッターでの共有件数が編集記事を上回るものも現れている。

次のページ
米国のほとんどの出版社がネイティブ広告を採用

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
次世代広告コミュニケーションの秘訣連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

田中 善一郎(タナカ ゼンイチロウ)

ITメーカーで情報通信システムの開発に従事。その後、新聞社系雑誌社に転職。電子、通信、コンピュータ分野の記者として、LSI設計、ネットワークなどの最先端技術をカバー。90年代当初からインターネットメディアに傾斜し、ニュースメディアサイトの立ち上げに従事。雑誌社退職に合せてブログ「メディア・パブ」を2004年に立ち上げる。また監査役として、急成長するSNSベンチャーに6年間身を置く。2012年10月からフリーに。

■関連リンク

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/07/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18143

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング