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「アドテクノロジーが顧客の行動を通じてマーチャント側とメディア側をつなぐ」靴とファッションの通販サイト「LOCONDO」のアドテク活用史

広告運用の基礎は毎朝のデータ集計

 実際に平塚氏の部署では、担当者が朝10時に出勤するとまず、同社が使っているすべてのオンライン広告のデータ集計を行う。次に分析に取り掛かり、その日の戦略を策定する。それに基づき出稿調整に入るのが、およそ午後1時。

 このPDCAを毎日、高速で行うことが重要になるが、ここに機械的にだけではできない人の力が必要だという。それは、例えば雨だとモノがよく売れるといった天候の情報や、シーズンごとのMD(マーチャンダイジング)戦略との兼ね合いなど、小売業ならではの変動要素をデータから分かる情報と合わせて戦略に落とし込むことが求められるからだ。

 その感覚を養うのに、毎朝2時間ほどもかけてデータを集計し、次へつなげるという毎日の高速PDCAが役立っている。「毎朝のデータ集計が、我々のすべての広告運用の基礎になっています。体制のキーワードを挙げるなら“自前主義”。これら一連のオンライン広告業務を実質2名で行っています」

 とはいえ、いつまでも職人技では伸びしろが限られる。そこで設定したのが、フェーズ3の戦略的な試行錯誤だ。解析ツールから分かるアトリビューションデータを、自社のECシステムと合体させ、新規ユーザーかリピーターか、といったさまざまな切り口で実験的な分析を重ね、知見を蓄積していった。「こういった取り組みには各広告プロバイダの協力も不可欠なので、支援いただいた方々には感謝しています」と平塚氏。

アドテクの力を活かせるかどうかは“人”にかかっている

 そして、現在のフェーズ4に突入している。月間取扱額4億円、会員数約37万人を抱えるまでになり、月間PVは1,500万を数える。「これからの部分も多々あるが、ようやく芽が出た」と、平塚氏は手応えを語る。

 さまざまな要因の中でも、サイトの成長に大きく関係しているのが、同社が事業の運営上でも非常に大切にしている「人」だという。効果があると聞いたものをとにかく取り入れた初期の頃から、日々の高速PDCAを回して職人技を身に着け、またパートナーとの協力関係を築いて試行錯誤を重ねてノウハウを導き出していく。これらを100%自動化、機械化するのは無理だろう。

 (左)人がデザインしたバナー広告(右)機械的に表示されるバナー広告
 この2つのバナーでは、左の人が制作したバナー広告の方がCTRが高かったそうです。

 事実、平塚氏は「人」の力を実感する例として、ユーザーの閲覧履歴に基づいて商品が機械的に表示されるバナー広告よりも、制作担当者がコピーを考え、商品を選んでデザインしたバナー広告のほうがCTRが高いことがあると指摘する。

 「我々もアドテクノロジーに本当に助けられましたし、そのパワーを信じています。しかしながら広告主としては、その力をどのくらい活かせるかどうかは運用する“人”にかかっているということを、改めて実感します」

 アドテクノロジーを活用しながらも、人が地道に経験値を蓄え、自分の頭で考えながら効果向上に取り組むことが大きな成長につながる。そんな同社の考えが表れた「結局は人です」との平塚氏の言葉で、講演は締めくくられた。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/09/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18460

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