Googleの次の時代は「ソーシャルネットワーク」による情報収集が主役?
インターネットの世界で最も力を持つ存在といえば、いまは「Google」が筆頭に上げられるだろう。しかし、近年になってGoogleの検索に対して、物足りなさや違和感を感じている人が増えてきたといわれている。全否定をするつもりはないとしつつも、佐々木氏は「アルゴリズムによる検索を補完し、有効にインターネットの情報を活用する手段はないものか、模索する傾向にある」と分析する。
なお、Googleは自身のアルゴリズムを公開していない。その理由として、悪意に利用されることを避けるため、そして公平性を期すためだと説明されている。しかしながら、時は流れてIPOを果たし、いまや莫大な時価総額を誇る巨大企業となったGoogleに政治色をすべて払拭し、公平性を担保することが可能かどうか、疑問を感じるところだろう。そこで、佐々木氏は「ソーシャルネットワーク」こそがその答えの一つであり、まさにWeb2.0そのものを体現する仕組みだ」と語る。
たとえば「メキシコ」という言葉で検索すると「メキシコ旅行」の情報ばかりが上位に上がる。この検索結果では、メキシコの歴史や政治を調べたいと思っていた人には役に立たない。つまり、Googleの検索で有効な情報を引き出せるのは、あくまで最大公約数であり、ニッチな興味関心には対応していないのだ。
当然、検索リテラシーが高ければ、Googleのand検索やオプション検索などを活用すれば、さほど難しい問題ではない。しかし佐々木氏は、「『リテラシーが必要だ』と言い切ることは容易だが、そこにデジタルデバイドの問題が生じてしまう。そこで、何か新たに各々の興味関心に合わせた容易な検索方法がないか、考える必要がある」と語る。その答えの1つが「ソーシャル」に隠されているというわけだ。
たとえば、Yahoo!には多数のコンテンツが掲載されている。しかし、やはりそこで情報の基準となっているのは最大公約数であることは否めない。同じレストランの評価についても、性別や年齢、年収、好みなどによって大きなばらつきが生じてくる。しかし、そこにSNS的な仕組みが組み込まれたらどうだろう。自分と似た好みを持つ人たちだけが評価する「レストランポータル」が出来上がり、自分の判断の参考となる情報や好みの情報が自動的に集まってくるというわけだ。「金沢出身者が判断するサイト」や「年収300万以下のB級グルメサイト」といったように、セグメンテーションを分けることよって、それぞれの属性の中での価値判断の確かさを高めることが可能になるだろう。
そうなればどのような世界が出来上がってくるのか。佐々木氏は「これまで顔がなく、単なるIDのみでバーチャルでインターネット上でコミュニケーションしていたものが、mixiのマイミクのようにリアルの人間関係とリンクし合い、新たな社会集団になっていくのではないか」と予想する。
そうした人間関係のリアルさがインターネットに持ち込まれることによって、情報の確からしさが高まっていくのではないかというのである。もちろんそこには個人情報保護法などの新たな問題が出てくることは確実であり、簡単なことではない。しかし、もっと問題なのは「母集団」がどのような集団なのか、ということである。