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神撃のバハムート×ガールフレンド(仮) ゲームレベルデザイナー対談、ゲームの楽しさを左右する「数値」と「言葉」

 ついやってしまう、もっと遊びたくなる。そんなゲームを作るために必要なのが「レベルデザイン」という仕事。サイバーエージェントグループで人気カードゲームを手掛ける2人のゲームレベルデザイナーにお話をうかがいました。

ゲームレベルデザイナーという仕事

―おふたりは、「ゲームレベルデザイナー」として活躍されているわけですが、この仕事を始めるきっかけは何だったのでしょう。

谷井:私はサイバーエージェントに2007年に新卒入社し、今はAmebaスマホのゲーム部門でレベルデザイングループのマネージャーをしています。2009年にAmebaが携帯ゲーム事業を始めるタイミングでゲーム開発に携わり、現在に至ります。

 携帯ゲームが進化していくと、ゲーム内でより複雑なパラメータ設計が必要になります。特殊なパラメータ設計のノウハウを集結させるべく「レベルデザインチーム」を発足したのが2012年の5月。すでにリリースしていた『天空のクリスタリア』の運用に関わり、同時に『ガールフレンド(仮)』の新規開発のパラメータ設計を行いました。

 実は「レベルデザインチーム」と言っても当時は私一人で、ナレッジを共有できる相手もなく、とりあえずなんでも作ってやっていくという感じでした。現在は9名で、Amebaスマホゲームのすべてのレベルデザインのクオリティ向上とナレッジ標準化を行っています。

(左から)谷井靖史氏、矢口諭氏

矢口:私はサイバーエージェントグループのCygamesの取締役の1人(木村 唯人氏)が友人で、そのつながりでこの業界に入りました。ゲームプランナーとして、レベルデザイン以外の業務もこなしていたのですが、『神撃のバハムート』のときに、私がほぼ一人でパラメータを設計しました。Cygamesにはレベルデザインチームはありませんが、プランナーはレベルデザインができて当たり前であることを前提に、パラメータ担当者に向けて講習を行うといった活動もしています。

―谷井さんの『ガールフレンド(仮)』、矢口さんの『神撃のバハムート』。いずれも「カードゲーム」というジャンルですよね。

谷井:カードバトルゲームは、強さの異なるさまざまなキャラクターが描かれたカードを組み合わせてデッキ(カードのグループ)を作り、ユーザーどうしでバトルして最強のデッキを作るゲームです。ユーザーは他のユーザーに勝つためカードを手に入れて、自分のデッキが強くなるよう構成していきます。

矢口:もともとは「トレーディングカード」として世界中に広まったもので、「このカードをコレクションしたい」と思ってもらえる魅力的なヴィジュアルも重要です。『神撃のバハムート』には現在6000種類のカードが存在しています。

バハムートのパラメータ設計にかかった時間は1日

―基本的な質問なのですが、ゲームレベルデザインの「レベル」というのはどういう意味なのでしょうか。

谷井:レベルとはいわゆる「段階」のことです。苦労しながらレベルごとに設定された障害を乗り越え、クリアしていくところに楽しさがあるので、ゲーム作りにおいて重要な要素となります。

―おふたりの仕事はゲームの「パラメータ」を決めること。具体的にはどのような作業なのでしょうか。

谷井:パラメータというのは、要はただの数値です。たとえばボスのヒットポイント(そのキャラクターの体力を表す数値。そのキャラクターを倒すために必要なダメージの総量)というものがあって、それを「100万」と設定したとします。でも、「100万」という数値だけでは何のことか意味がわからない。レベルデザインは、この「100万」という数値を単に決めるだけでなく、どういう経緯でその数値に行き着いたのか、その意図を積み上げながら設計します。

カードごとにさまざまなパラメータを設定
カードごとにさまざまなパラメータを設定(神撃のバハムート)

矢口:各カードのパラメータが決まっているのであれば、それらをもとに、どのくらいのデッキでどのくらいの相手を倒せるかということを考えます。そしてユーザーを想定する。このくらいのユーザーならこのくらいの強さだろう。ボスもラスボスに限らず中ボスもいるというように段階がある。それを、ユーザーのレベルに合わせて、そのユーザーの想定されるデッキを見ながら、じゃあこのユーザーならここまで倒せる。このユーザーならあそこまで倒せるっていうのを、ちゃんと段階ごとに設計していく形になります。

―バハムートのときは、どれくらい時間がかかったのでしょう。

矢口:当時はだいたい1日くらいでやっていましたね。

―1日で?!

矢口:はい。1日のうちにデッキの想定とともに、いろいろシミュレーションしながらやっていきます。エクセルで計算して、数字を出して想定しながら作業をする。パラメータが決まったからといって作業が終わったわけではなく、実際に動かして確認する必要もあるので、あくまで設計するのに1日というだけなんですが。その後のバランス調整はリリースぎりぎりまでやります。試行錯誤をして、本当にこれでいいんだろうかと思いながらやっているという状態です。

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この記事の著者

大塚 笑可(オオツカ エミカ)

フリーライター。大阪府出身。法律業界から転身し、フリーライターに。社会系、IT系からファッションまで、幅広い分野で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/11/12 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18707

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