LINEはスマートフォンのメルマガ
では、なぜ予算を投下するメディアとしてLINEを選んだのかをたずねたところ、洞本氏は3つの理由を挙げる。
1、LINEが抱える圧倒的なユーザー数
2、スタンプによるコミュニケーション
3、プッシュ配信でダイレクトメッセージが送れること
一つは圧倒的なユーザー数。二つ目はスタンプがLINEのコミュニケーションの肝になっていること。スタンプにはキャラクターが必要だが、「我々にはさくらパンダというキャラクターを持っているし、これまでさくらパンダを使って施策を行ってきたという経験値もあります。また一定のファンが付いていることもあり、相性のいいメディアだと思いました」と洞本氏。
「また、言ってしまえば、LINEはスマートフォンのメルマガです。他にも色んなO2Oプラットフォームはありますが、リアルな店舗まで誘導しやすく、短期的な成果のみを考えた時には、プッシュでメッセージ配信するのは最も効果が高いですよね。そしてメッセージのコンテクストとしても、受け取るユーザー自身がLINEの公式アカウントからは企業の広告・宣伝メッセージが届くとそもそも認識していると思うので、ソーシャルメディアより広告・宣伝色の強いメッセージであってもユーザーの許容度が高いのではと考えています。
LINEのプラットフォームとしての特性を考えると、有効なメディアだと思っています。我々にすると高い広告費で、思い切った投資ではありますが、そこに踏み込めたことは会社としても一歩前身できたと思っています」
加えて費用対効果については、「単純にどれだけ売上が上がったかという点では、今回お話した2つのキャンペーンでは十分に元は取れています。ただ企画によっては、ペイできていないものもあります」と洞本氏は応える。
「ただ、売上は評価軸の一つにすぎません。他にも、LINEを入り口とした顧客化、またユーザー間でさくらパンダスタンプを使ったコミュニケーションが行われるといったブランディング的な側面もあります」
次なるLINEを活用した新企画はマストバイスタンプ
同社は、新たなLINEを活用した施策として、さくらパンダを使ったマストバイスタンプ企画を10月30日から11月26日まで実施する。来店し、何かしらの買上をした顧客に対して、スタンプをダウンロードする際に必要なシリアルナンバーを記載したカードを売り場でプレゼントする。

「今回の企画のインセンティブはさくらパンダのスタンプです。これまでは1,000円以上といった買上金額条件を設けていましたが、今回は買上金額の条件はつけません。また以前は3日間という短期間のキャンペーンでしたが、今回はカードの配布ということで店頭オペレーションが軽くなるので、4週間と期間を長く設定することができました。期間の長さに比例して参加者が単純に増えるとは思っていませんが、これまで以上の結果を出したいと思っています。

J.フロント リテイリングのグループ企業であるパルコが、以前に「マストゴースタンプ」企画を実施した際は、23,000枚の引き換えがあったと聞いています(関連記事はこちら)。それに近しい数字を結果として出せればと思います。今後もLINEに限らず、いろんなチャレンジをしていきたいですね」