ファン数の増加と各種反応数の相関について
まずは本分析で扱っているデータをご紹介致します。今回も日本語で運営されている主要Facebookページのデータを用いて分析を行いました。
- 調査対象:日本語で運営されている企業ページの中から代表的な750ページを任意に抽出
- 対象期間:2012年12月~2013年5月 (6か月間)
- 調査項目:ファン数の増加率と、各種投稿反応(いいね!、コメント、シェア)の相関関係
優位確率P値によるファン増加と投稿反応の相関を確認
今回はファン数の増加と各種投稿反応数(いいね!、コメント、シェア)に相関関係があるかを調べるために、まずは対象期間におけるFacebookページのファン数と各種反応数の増加率を、以下の式を用いて算出しました。
上記の分析結果を元に、いいね!、コメント、シェアそれぞれを説明変数とした3パターンの回帰分析を行い、各反応の増加率における有意確率P値(参照:Wikipedia)を算出しました。
有意確率P値を端的に説明すると「物事に相関があるか」を見るもので、今回は各種反応(いいね!、コメント、シェア)と、ファン増加率との相関を見ています。P値については、0に近いほど相関があることを示す値で、マーケティング業界では0.05=5%程度あれば相関があるとみなすケースが多いです(より厳密な自然科学では0.01=1%を基準とする場合が多いです)。今回はいいね!、コメント、シェアとファン増加の3つのP値を計算してみたところ、以下のような結果を得ることができました。
表のスコアより、いいね!とシェアについては、限りなく0に近く、ファン数の増加と相関があるという結論が得られました。一方コメントに関しては、ほぼ0.05と相関があることは見えましたが、いいね!、シェアと比べると相関が薄いことがわかりました。
決定係数(R2)値によるファン数の増加と、いいね!/シェアの寄与度を確認
いいね!とシェアについては、ファン数の増加と相関があることがわかりましたので、次は決定係数(R2)値(参照:Wikipedia)を用いて、ファン数の増加といいね!、シェアの寄与度を確認してみました。
決定係数(R2)は相関の強さを示す値で、数値が大きければ大きいほど寄与度が高いとされます。下記が、いいね!、シェアを比較した表です。
いいね!、シェアの決定係数(R2)値を比較すると、いいね!よりシェアの値が高いため、シェアのほうがファンの増加に対して寄与度が高い傾向にあると言えます。つまり今回の調査で、総合的な傾向としてファン数の増加に最も貢献している反応は、「シェア」であると考えられます。
本調査では、対象期間のファン数の増加率が80%以上のFacebookページは、開設初期段階で、Facebook広告などの影響を強く受けていることが推測されるため、対象外としています。また調査全体においても広告などの影響を受けるため、参考値と捉えてください。
シェアを増やす秘訣を探る
反応の中で、ファン数の増加に最も寄与するのはシェアであるということは見えたものの、どうやってシェア数を増やせばよいでしょうか。そこで今回は、実際どのような投稿をすれば、よりシェアを獲得することができるのかを探ってみました。
よりシェア数の割合が高い傾向にあるページの投稿を分析するため、はじめにいいね!数とシェア数の相関を確認してみました。下図は1か月間のFacebookページごとの投稿に対するいいね!数とシェア数の分布図です。図より「いいね!が多い投稿はシェア数も多い」ということがわかります。
ただし一部の投稿は、「シェア比率が高い」ケースが見受けられます。下図の近似線より下に位置されるFacebookページがそれを指しています。このページには「よりシェアされる秘訣があるのではないか」と考え、いくつか目視を行いました。