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ツライだけじゃない。お客さんを次のステージに連れて行く、それが検索連動型広告だ!【Search Summit Tokyo 2013レポート・後編】

 過酷な運用業務で知られる検索連動型広告。しかし、発想次第でクライアントを新たなフェーズへ連れて行くこともできる。「Search Summit Tokyo 2013」の第二部「検索連動型広告(ペイドサーチ)」編では、プラットフォーマー、代理店、サードベンダー、それぞれの立場でサバイブしてきた賢人たちの言葉をお届けする。(前編はこちら)

第二部「検索連動型広告(ペイドサーチ)」

 10月30日、東京・渋谷ヒカリエで開催された「Search Summit Tokyo 2013」(主催:Search Summit Tokyo実行委員会)。第二部のテーマは「ペイドサーチ」。第一部に続いてツワモノぞろいのパネリストを前に、モデレータのアタラ合同会社取締役CCO岡田吉弘氏が口火を切った。

岡田 「リスティング広告」という言葉の指す範囲が広がってきているので、今回は「検索連動型広告(ペイドサーチ)」に絞って考えていきたい。Goto.com(のちのOverture)が出てきたのが1998年。日本で検索連動型広告がローンチしたのが2002年。0円だったものが数千億円の市場になり、それまでコストがかかるだけの検索エンジンがマネタイズのエンジンに変わってきた。この流れの中で、皆さんがこの業界にどのように関わってきたのかをお聞きしたい。

(左からパネリストの3人)治田耕太郎氏(sembear 代表)、阿部圭司氏(アナグラム株式会社代表取締役)、山下孝之介氏(ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 検索連動型広告ユニット サービスマネージャー)、右はモデレーター 岡田吉弘氏(アタラ合同会社 取締役CCO)
(左からパネリストの3人)治田耕太郎氏(sembear 代表)、阿部圭司氏(アナグラム株式会社 代表取締役)、
山下孝之介氏(ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 検索連動型広告ユニット
サービスマネージャー)、右はモデレーター 岡田吉弘氏(アタラ合同会社 取締役CCO)

治田 私がこの業界に入ったのは1999年。アイレップ、Overtureを経てベンダーへと移っていった。検索エンジンがお金を儲けられるようになったのは、Goto.comのようにリスティング広告が出てきてからではあるが、それ以前にLookSmartのような別の収益モデルもあったというのは1990年代のひとつの見方かなと思う。

 その後、2003~2004年まで、広告主サイドで広告効果を測定しようという文化は日本にはなかったと思う。リスティング広告が出てきて、効果を測定しなければということで、アクセス解析ツール、効果測定ツールを使って効果を最大化する取り組みが出てきた。

第一部でアイレップ渡辺隆広氏が示したスライド「広告の流れ」(部分)
※画像をクリックすると、拡大表示します。

阿部 2005年ころ、制作会社として代理店とやりとりしていて、そこでリスティングに関わった。自分でやり始めたのはPanama(Overtureの広告システム)の直前なので2006年の末。データが見えるのがすごく面白くて、売上につながるのがダイレクトにわかって楽しかった。それで自社で運用したほうがよいのではというので、やってみたら結果が出たので部署をつくったのが始まりだった。

山下 僕の場合は2005年くらい。代理店でガシガシDTC(Direct Traffic Center)をいじっていた。そのあとPanamaになりOvertureに合流し、それ以降ずっとプラットフォーム側で、どうやったらお客さんの利益を最大化できるのか、どういう機能を入れていけばよいのかということにずっと携わっている。

なぜ「品質」という概念が出てきたのか

岡田 2007年の4月にPanamaに移行を開始した。その前後で一番の違いは「品質」という概念が入ってきたこと。この移行はなぜ行われたのか。

治田耕太郎氏
治田耕太郎氏

治田 当時、直接かかわっていた立場で言うと、移行の目的のひとつは収益性の効率化。いくら単価の高い広告が検索面に出ていてもクリックされないかぎり、媒体や検索エンジンは儲からないという絶対原則がある。

 しかし一番大きいのは、検索結果に出てくる広告が検索行為を邪魔するものであってはいけないという考え方。検索面に広告を出すのはOvertureが始める前まではタブーだった。しかし、消費者にとって有益な情報を提供できるなら、単価、品質、クリック率、コンバージョン率という概念をもってプラットフォーム側で努力するというのが、Panamaのコンセプトになっている。

岡田 去年は爆速経営への移行もあり、Yahoo! JAPANの検索にはいろんな動きがあったと思う。収益性やユーザーエクスペリエンスの向上のために最近取り組んでいることは?

山下孝之介氏
山下孝之介氏

山下 広告掲載面の最適化はずっとやっているので、劇的に変わっているようには見えないと思う。アド自体が邪魔にならないようにという方向へ向かってはいるが広告をクリックする人としない人というのはわかってきている。

岡田 プラットフォーマー、代理店、さらに検索エンジンの進化にともなってテクノロジーベンダーが出てきた。それぞれの立場で、何が変わったのか。

治田 検索連動型広告は、広告としてのプラットフォームから情報提供プラットフォームへ変わってきた。エンハンストキャンペーンやユニファイドキャンペーンもデバイスをまたいだ情報の統合化と言える。「PLA(Product Listing Ads)」のようなデータフィード系は、商品データを直接的に検索結果に届けるもので、それが広告というかたちになっている。そういう意味では「検索連動型広告」から「ペイドサーチ」、いわゆる有料検索という状況に近づいているのかなという。

 まったく変わらないのは、「どのキーワードがいいのか」というところで頭を悩ませるというところ。枝葉のテクノロジーはすごく進化しているにも関わらず、人間の知見、脳を使うところはほとんど変わっていない。

阿部 私も同じ意見。ただ「テクノロジーが以前よりも近くなってきたな」というのはすごく感じる。AdWordsの「自動化ルール」や自動入札ツールなど、以前はまったく使えないような機能もあったが考え方によっては使える。だんだん近くなってきていると感じる。

山下 キーワードの数は年々増えていっているが、当たっているキーワードを見ると、やはり検索エンジン自体が賢くなっているので(キーワードの数に比例した)広がりはないように思う。僕らはもっと自動化しないといけないかなと思っているので、今後に期待してほしい。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2013/12/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/18938

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