一流レストランの仕掛け人はなんと“ディスカウントスーパー” その真意とは…
国名:スウェーデン 業種:小売 ブランド名:Lidl 参考資料:vimeo
スウェーデンのディスカウントスーパー「Lidl」が、店舗で販売する食品の「品質の高さ」を訴求するために、同社の名をあえて伏せてレストランをオープンしました。3週間限定でオープンした「DILL」という名のレストラン。おしゃれな佇まいのレストランを仕切るのは英国から招き入れた一流シェフ。

上質な料理が“格安”で提供されるとあって、瞬く間にストックホルム市民を虜にし、SNSなどでも数多く話題にのぼり、オープンから3週間、予約が途切れることがなかったといいます。
絶品料理が破格値で提供されていたことも驚きですが、何より市民を驚かせたのは、このレストランが実はディスカウントスーパーのLidlが経営していて、“すべての食材はLidlで調達した”という事実。中身の素晴らしさに気づくには、時には外見を変えてみる必要があるというLidl。
同社が取り扱うディスカウント食材の提供場所を、スーパーではなく上質なレストランに変えることで、「真の品質(品質の良さ)に気づいてもらおう!」という試みでした。アイディアとともに、その実行力に脱帽です。
読むだけの雑誌はもう古い!? スマホを置いて“雑誌を聴く”
国名:ブラジル 業種:出版 雑誌名:Billboard 参考資料:YouTube
音楽雑誌『Billboard』が、雑誌とスマートフォンを双方向通信させた前代未聞の出版物を制作しました。本屋などで売られているBillboard Brazil誌の表紙にスマートフォンを置くと、その誌面に掲載されているアーティストの楽曲プレイリストがスマホに即座に送られてきます。これにより、アーティストに関する情報を誌面で読みながら、同時にそのアーティストの音楽をスマホで聴くことができるというわけです。

この試みはNFC(Near Field Communication)というテクノロジーを用いており、ユーザーはアプリやソフトウェアをダウンロードする必要がありません。もちろんBluetooth接続やQRコードでの面倒な読み取りなども一切不要。表紙の指定の位置にスマホを置くだけという簡便さがウリです(このケースに限らず、NFCを応用したプロモーションは世界各地で徐々に増えてきています)。
「雑誌は読むもの」という常識を打ち破る“聴く雑誌”、音楽好きにはたまりませんね。
女子サッカーのテレビ中継を舞台にした、市民の意表を突くプロモーション
国名:ブラジル 業種:環境保護団体 組織名:WWF 参考資料:YouTube
世界的な環境保護団体「WWF」がサッカー大国のブラジルで、女子サッカーのTV中継を舞台に仕掛けた啓発プロモーション。ブラジル代表 対 デンマーク代表の女子サッカーのTV放送中に、突如フィールドの左端から緑色の芝生が剥げて茶色に変化していきます。その間もブラジル代表がゴールを決めたりしますが、試合の進行とはお構いなしに少しずつ茶色のスペースが広がっていきます。

ちょうど4分かかってフィールドの右端まで茶色になると、「ブラジルでは4分ごとにサッカーのフィールド1つ分の森林が失われています。WWFのサイトで支援方法を学んでください」というテロップが映し出されます。サッカーの試合に熱中している国民に対して、思いもかけない角度から環境問題について啓発するアプローチ。
スポーツのTV中継で、画面上で合成した看板広告を出稿するのは一般的ですが、今回のような予想外の合成プロジェクトは初めて目にしました。盲点をついた素晴らしくユニークな発想です!
2013年を振り返って
今年の振り返り記事、いかがでしたか?
皆さんのインスピレーションを掻き立てる事例を、ひとつでも紹介できていたとしたら何よりです。なお、今年2013年のアイディア溢れるプロモーション事例をもっともっと知りたいという方は、是非AdGangもご覧ください。それではまた来年!