4つの切り口でみるFastシリーズ活用法
続いて、登壇したのはテクマトリックス株式会社CRMソリューション技術部次長の松家早苗氏。「使い方次第で効果倍増!Fastシリーズ製品活用テクニックのご紹介」と題した講演を行った。松家氏はテクマトリックスの製品群である『Fastシリーズ』に技術面から関わっている。次の4テーマに沿ってFastシリーズ製品の活用事例を紹介した。
- 利用者に合わせたFAQの見せ方
- 表現力のあるFAQを作成するには
- 業務の流れが決まっている問合せを管理するには
- 問題をすばやく察知するには
利用者に合わせたFAQの見せ方
始めに紹介されたのが『FastAnswer』というFAQシステムの機能だ。まずは、見えるFAQと見えないFAQという機能を紹介。これは、社員あるいは特定の人にだけ、共有したいFAQがある場合に有用だ。松家氏は「同じサイトで同じ検索をしても、権限により閲覧できるFAQの種類や数を使い分けることができます」と説明。
また、FAQの中の閲覧できる情報と閲覧できない情報についてもこう説明する。「WebのQ&Aで一般の方が閲覧可能な情報と、許可された者だけが閲覧可能な情報を出し分ける機能もある。これは社内で共有されている情報を元に顧客応対したい場合に役立つ」例えば、そのサイトを見た一般の方からコンタクトセンターに、Q&Aではわからないという問合せがあったとする。その際に、一般の方と同じサイトで同じ検索をしても、オペレーターの方に出てくる画面には、予想される応対方法などの付加情報が表示される。
続いて、表現力のあるFAQを作成するために、色や絵の挿入を工夫する機能を紹介する。これはHTMLがわからないので簡単にページを作りたい、イメージを入れてわかりやすいFAQにしたいといった際に使える機能だ。
松家氏は、自動車会社が実際に導入している画面例を挙げ「車間認知システムとは何ですかという質問に対し、その仕組みが分かりやすいように図解で説明する。または、イメージやリンクをつけてFAQのページを作成する。これもFastAnswerの専用エディターでできる機能です」と話す。
表現力のあるFAQを作成するには
さらに、表現力のあるFAQを作成するために、検索しやすくするための工夫を紹介する。
1つ目は、目的のFAQにたどり着きやすくする工夫として、通常のキーワード検索に加え、目的やシーンに応じた分類分けを行う機能が紹介された。例えば、ある保険会社では2種類のカテゴリを利用者の権限毎に使い分けている。
一般のお客様であれば「○○に加入したいがどうしたら良いか」「引越して住所が変わるが手続きは?」など、シーンや目的からカテゴリを絞り込むようにすると有効である。一方、ある程度製品に対し熟知しているオペレーターが対応する際に「この問合せならこの問題についての相談だろうな」といったように、製品から検索した方が早く回答ができる場合がある。権限によりカテゴリを使い分けることで、FAQを使いやすくすることも可能だということだ。
2つ目は、複数のカテゴリを使い分けるという工夫。例に挙げた自動車会社では、『問合せ内容から探す』というカテゴリに加え、『車種から探す』というカテゴリを加え、両方合わせた絞り込みができるサイトにしている。
さらに、複数のカテゴリを権限に関わらず選べ、かつ、自社製品に関連する文献検索、および各種情報を組みあわせて検索できるというシステムもある。
松家氏は、ある製薬会社の文献情報検索システムの例を挙げて利用例を紹介。「例えばMRが、薬の用途や容量など、担当する医師から質問を受けて答えなければならないといった際に、タブレットを用いてその場で検索したり、社内の専用チームに問い合せる仕組みがある。また、製品名、FAQ分類、文書情報として、その自社製品に関する文献をチェックボックスで選び、その条件に関するものを絞り込んで検索できるといった工夫もなされている」
業務の流れが決まっている問合せを管理するには
次に紹介されたのが『FastHelp』というコンタクトセンターCRMシステムの機能だ。業務の流れが決まっている問い合わせをどのように管理するかという課題に対し、ワークフロー機能の活用、項目追加と色分けという2つの機能があるという。
決まったルートで業務の問合せを管理するためのワークフロー機能とは、店舗や顧客から受けた相談や情報を、どの部門が対応し誰が承認するのか、という一連の流れを、自由度なく決まったルートで流れるようにする機能だ。松家氏は、テクマトリックス営業支援の例を挙げ、具体的に説明した。
テクマトリックスでは、STEP1~4という一連のステップで、工数見積がなされる(図1)。そしてその流れは、青いフキダシの担当が次の担当に繋ぐことにより進められる。ここで、ワークフロー機能を用いると、それぞれの作業をフキダシ担当者に手動で通知することなく決まったところにエスカレーションする、という流れを設定し進めることができる。これにより、ヒアリング内容の記録から見積内容を確認するまでの一連のステップを自動で進めることが可能となる。
さらに、見積もりが複数回に及ぶ場合にも、その管理を効率的に行う機能もある。見積もり担当者が見積もった内容は親子関係を持った別の子コールとして、管理することで、親のコールは一つで済み、また、最終的なヒアリング内容と結果、結果にいきつくまでの見積もりの遷移が見られるようになるという(図2)。
一方で、業務の流れを厳密に決める必要がなく、どの部門がどこに入力するかを画面上明確にできれば良い、という要請向けの機能もある。その場合は、ワークフロー機能を使わず、項目を自由に使えるコールオプションや項目の背景色を変えたりできるレイアウトメンテナンスという機能を活用すると良い。
この場合、入力した人間にどこの誰に見て欲しいかを判断させ、手動で進め、自由度を持たせることになる。担当者や作業内容によって、色分けすることで自分の役割が明確になり入力しやすくなるという(図3)。「ワークフローのようなガチガチのフローではなく、それぞれの項目を入力した担当が自由度を持って対応できる。色分けをし見た目を変えるだけで、自分の役割が明確となり入力しやすくなる」と松家氏は話す。
問題をすばやく察知するには
最後に、問題を素早く察知するために、活用できる機能として危機警告オプションという機能が紹介された。あらかじめ設定された危険なキーワードを検知し、コンタクトセンターへの問合せ内容から現場で起きている問題を察知する。
例えば、コンタクトセンターが問い合わせを受けて残した情報に関する問合せが、1時間に○○件以上あった場合、検知して管理者に危機として通知を行うという設定ができる。
また、メール通知と情報共有のために危機警告オプションを利用することもでき、現場にいないが第一報が欲しい、といった時に役立つ。松家氏は本講演でFast シリーズの事例に合わせた様々な活用法を紹介した。
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