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統括編集長インタビュー

「ネット広告配信技術をテレビ広告にも応用」急伸する動画広告市場のリーダーを狙う「Adap.tv」

 日本でも普及がはじまった動画広告。一歩進む海外では、PCやモバイルのみならずテレビへの広告配信もはじまりつつある。各社の日本参入が進む中2013年9月にAOL傘下のAdap.tvも日本へ上陸した。今後、日本の動画広告市場はどう動くのか。同社のキーマン二人に聞いた。

Adap.tv SVP, International Phil Duffield氏(写真左)
AOLオンライン・ジャパン株式会社 代表取締役 橋本久茂氏(写真右)
Adap.tv SVP, International Phil Duffield氏(写真左)Adap.tv 代表取締役 橋本久茂氏(写真右)

買収、日本市場への参入発表…AOLと組んだ狙い

 ― 昨年8月には買収ニュース、続いて9月には日本市場への参入発表とあわただしい半年間だったと思います。買収を受けたのは多数のメディアを持つAOLとのシナジー効果を狙ったのでしょうか?

 橋本氏:AOLの事業は多岐にわたりますが、大きくはメディア事業と広告事業で成り立っています。メディア事業は、ポータルサイトの他に、ハフィントンポストやテッククランチなどの媒体を運営しています。広告事業としてはアドネットワークなどを運営していますが、その中で私たち「Adap.tv」は動画に特化した広告配信サービスという立ち位置の会社となります。

 ― なるほど。Adap.tvの本拠地はアメリカですよね。どんなサービスを展開されているのでしょうか。

 Phil氏:もともと2007年に設立し、急速かつグローバルに成長したのち、昨年9月にAOLの傘下に入りました。アメリカだけでなく、いまは東京、シドニー、シンガポール、ロンドンに拠点を持ちます。今後も拡大予定で、今年はフランスとドイツに、その後も東南アジアに進出する計画もあります。

 強みのひとつは、総合的なサービスを提供できることです。最近アドテクノロジー業界には様々なテクノロジーが登場しています。効果的なプログラマティック広告出稿を実現する「DSP」やメディアの収益化を支援するテクノロジーの「SSP」などですね。そういった技術が台頭する中での私たちの強みは、広告主向けの技術とメディア向けの技術を、ひとつのプラットフォームで動かせることだと考えています。

世界トップシェアを誇るAdap.tvの統合プラットフォーム

 ― ひとつのプラットフォームで動かせると何がよいのでしょうか。

 橋本氏:例えば広告主が「DSP」を使って広告枠を購入したとしましょう。しかし、購入できなかった広告枠の詳細を知ることはできません。購入できなかった広告枠には対策が打ちづらいという問題があります。しかし私どもは、広告の出稿先であるメディアとつながる「統合プラットフォーム」のため、購入できなかった広告枠の詳細も広告主サイドが把握し、改善をはかることが可能です。さらに少し未来の話をするとアメリカではテレビへの広告配信にも実験的に取り組みはじめています。セットトップボックスなどからユーザーデータを吸い上げ、ターゲティングも行っています。

 ― ネット広告の配信技術をテレビ広告配信にも応用しているという意味でしょうか。

 Phil氏:それに近いですね。ただ、さすがに運用型広告のような世界ではまだまだありません。やり方としては少しアナログで広告代理店が購入した広告枠へ掲載する素材を放送局へ送り、放送局が配信しています。リアルタイムで配信されるのではなく、購入して数日後に配信、のようなイメージですね。

 ちなみにAOLと合併したことでAdap.tv経由の動画広告は月間43億インプレッションとなり世界トップです。世界中で流れている動画広告の7回に1回はAdap.tvから流れています。グーグルよりも多いです。

リーチ数で換算するとGoogleを越える
出典:http://www.emarketer.com/
リーチ数で換算するとGoogleを越える/出典:http://www.emarketer.com/

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/03/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/19425

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