「キャンペーンマネジメントシステム」「マーケティングオートメーション」「自動化」…これらは昨今よく耳にするようになった言葉です。一方でこれらの言葉の理解は、人やその人の立場によって「差異」がある印象も受けます。本連載では言葉の定義や普及した背景を整理をしつつ、「キャンペーンマネジメントシステム」を利用することで具体的に何ができるようになり、その実現のために必要な知識や手順は何かを具体的に紹介していきたいと思います。キャンペーンマネジメントシステムの利用促進の一助になれば嬉しく思います。
本格的な普及が始まったキャンペーンマネジメントシステム
このところ、日本でもキャンペーンマネジメントシステムの導入を検討する企業が増えています。国内外のベンダーの参入も相次ぎ、本格的な普及が始まりそうです。しかし製品カテゴリーとしての定義は曖昧なままで、実際、機能にもかなり違いがあります。この混乱には理由があるのですが、結果的に色々な誤解を招いてしまっているのではないかと思います。
まず言葉の定義から見てみましょう。
実はこのカテゴリーを「キャンペーンマネジメントシステム(Campaign Management System)」と呼んでいる例は本場の米国ではあまり見かけません。例えば調査会社のフォレスター・リサーチはクロスチャネルキャンペーンマネジメント(Cross-Channel Campaign Management)【※1】、同じくガートナーはマルチチャネルキャンペーンマネジメント(Multichannel Campaign Management)【※2】と分類して製品を評価しています。
- The Forrester Wave™: Cross-Channel Campaign Management, Q1 2012
- Magic Quadrant for Multichannel Campaign Management, MAY 2013
対象となるベンダーには少し違いがあって、フォレスター・リサーチのレポートは基本的にBtoC向けの製品ですが、ガートナーではBtoB向けの製品も同じカテゴリーとして評価されています。またベンダー各社の自社製品の呼び方もバラバラです。米国でも製品カテゴリーの定義は曖昧なのです。
キャンペーン(Campaign)という単語も米国と日本でニュアンスが違います。日本では宣伝企画とかプレゼント懸賞といったイメージがありますが、キャンペーンマネジメントシステムの「キャンペーン」は、特定の目的を達成するための一連のマーケティング施策を意味しています(元は軍事用語で、ある目標を達成するための作戦行動を指します)。
いきなりCross-Channel Campaign Managementでは分かりにくくなるので、本稿では日本で馴染みのあるキャンペーンマネジメントシステム(以下CMS)で通すことにします。
ちなみにマーケティングオートメーション(MA)という言葉は見込顧客の顧客化プロセスを管理するソフトウェアを指すことが多く、主にBtoBマーケティング支援の目的で採用されています。MAは見込顧客の管理機能と併せて見込顧客の育成(リード・ナーチャリング)のためのキャンペーン管理機能を備えていて、そのためCMSに分類されることもあります。(CMSの中にもMAとしても高く評価されている製品があります)。
ただ一部のベンダーでは見込顧客管理機能のないCMSでもMAと呼んでいたりして、やはり厳密に定義するのは難しそうです。