昨年アドテクノロジーの先端トレンドとして日本でも紹介され、今なお注目を集めているDMP(データマネジメントプラットフォーム)。その説明の中で「CRMデータを統合して、Eメール配信などにも活用することができます…」といったフレーズが出てくることがあります。DMPはさまざまな顧客データを統合して分析することができるのでCCCM(クロスチャネルキャンペーンマネジメント)とも近い関係にありそうですが、実のところどうなのでしょうか。
今回はCCCMとDMPの関係を整理しつつ、2つのテクノロジーの先にある新しいCRMの可能性について考えてみたいと思います。
まずそもそもDMPとは
DMPの詳しい解説はスパイスボックスの福田氏のこちらの記事を参考にしていただくとして、まずCCCMとの関連で必要な概要だけ簡単にまとめてみます。
DMPはさまざまなマーケティングデータを蓄積、統合して分析し活用するためのプラットフォームです。実際には「オーディエンスデータ」がその中心となります。
「オーディエンスデータ」とは個人を特定されない匿名の属性データや行動データのことです。具体的には性別、年齢、職業などの属性データとWebアクセスログや位置情報などのその人の行動を表すデータです。オンラインマーケティングの世界では今のところcookieベースのWebアクセスログが大部分です。
DMPには大きく分けて2種類あるといわれています。
まず一つが「データセラー型」。cookieを媒介にして自社オーディエンスデータを外部のオーディエンスデータと結び付け、自社の顧客を今までにない角度から分析して主に広告出稿に役立てます。
米国ではデータセラーDMPを介したオーディエンスデータの売買や交換が盛んですが、日本ではパーソナルデータの利活用に関する今後の環境整備次第でしょう。アドテクノロジーとしてのDMPは多くの場合このデータセラーDMPを指しています。
もう一つのタイプが「プライベート型」です。プライベートDMPは自社のオウンドデータを扱うことを前提にしています。こちらはオーディエンスデータ以外にも購買履歴を含むCRMデータなど、自社で保有する顧客の全てのデータを統合して管理し、広告配信はもちろんEメールマーケティングなどCRM目的のコミュニケーションにも活用することを想定しています。
こちらの記事から引用させていただくと両者は
“データセラーDMPは主に新規顧客獲得のための広告配信プラットフォーム。プライベートDMPは自社の顧客価値(LTV=ライフタイムバリュー)の最大化のための自社オーディエンスデータの統合管理プラットフォームという役割だ。”という位置付けになります。
こう見てくると、データセラーDMPとプライベートDMPは同じDMPといっても全く違う目的を持った別物だということが分かります。
次に2種類のDMPとCCCMの関係を考えてみたいと思います。