データセラーDMPとCCCMは補完関係にある
まずデータセラーDMPです。
データセラーDMPはCCCMのようなCRM系マーケティングテクノロジーとは相互補完関係を作ることができます。CCCMが登録された顧客を対象としているのに対して、データセラーDMPは新規顧客獲得のための広告配信を目的としているからです。
CCCMでコミュニケーションの対象となる顧客を効率よく獲得するのが広告配信プラットフォームとしてのデータセラーDMPの役割だといえるでしょう。
今年8月に日本でもリリースされたOracle Marketing CloudにおけるBlueKaiとResponsys(正式にはOracle Responsys Marketing Suite)の関係がまさにこれにあてはまります。
Oracleは今年4月にBlueKaiを、2月にResponsysを買収しました。BlueKaiは世界トップレベルの豊富なサードバーティーのオーディエンスデータを保有しデータエクスチェンジに強みを持つ典型的なデータセラーDMP。対するResponsysはメール配信を源流とするCCCMです。
両者のインテグレーションによって最初にリリースされた新機能は“Look-Alike Modeling”と呼ばれています。Responsysに格納されている顧客データベースの中から特定セグメントのオーディエンスデータをBlueKaiに取り込み、その傾向を分析して、「よく似ている」オーディエンスを広告配信のターゲットにすることができます。要は既存の顧客に似た特徴を持った、顧客になりそうな人に効率的に広告配信できるということですね。
CCCMとデータセラーDMPの間にはもう一つ補完関係の可能性があります。それはDMPの外部データを活用したCCCMによるターゲティングです。外部のオーディエンスデータをcookieベースで自社の顧客/見込顧客データに紐付けて、CCCMによるセグメンテーションに活用するわけです。
例えば旅行会社が外部の旅行情報サイトでスペイン旅行の特集や旅行記を読んでいる人のオーディエンスデータをDMPを介して自社顧客データと紐付け、その顧客にスペインツアー特集のメールを送信する、というような使い方が考えられます。
この場合はオーディエンスデータを個人情報に還元することになるので、旅行会社は自社の顧客に個人情報のそのような利用方法について許諾を得ておく必要があります。日本では当面はハードルが高いと思います。(個人情報保護法の改正やユーザー意識の変化によっては状況が変わってくる可能性もあります。)
