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マーケティングオートメーションの最新動向を探る

マーケティング自動化によって「マーケティング活動の主導権を企業に取り戻す」【中編】「IBM Enterprise Marketing Management」と「Adobe Marketing Cloud」

アドビはツールベンダーではなく、顧客のマーケティングパートナーを目指す

 さらなるアドビの優位性は、ツールベンダーでありながらマーケティング分野でコンサルティングサービスも提供してきたことだ。Omniture時代からWebを最適化するために、アクセスログを細かく解析し、高度なコンサルティングサービスを提供してきた。これにより、当初から企業のマーケティング部門にアプローチしてきたことも他社にはない強みと言える。アドビ自身も「ツールを使ってもらいたい」というよりは「マーケティングのパートナーとして見てほしい」と考えている。

アドビのソリューション採用企業
アドビのソリューションを採用する企業の一例

 もうひとつ触れておきたいのが、このAdobe Marketing Cloudの仕組みを、アドビ自身が社内で利用していることだ。つまり、自社で最新のマーケティングオートメーションを実践してノウハウを蓄積し、マーケッターとして経験を積んでいるのである。逆にアドビにとって弱みとなるのは、CRMやSFAなどデジタルマーケティング・ソリューション以外の部分を持っていないことだろう。購入した製品のサポートサービスを効率化するカスタマーサポートのソリューションもないので、顧客とのすべての接点を取り込もうとすれば各種他社アプリケーションとの連携は必須となる。

 ちょうどこの記事の執筆を終えようとしたタイミングで、アドビはデジタルマーケティング カンファレンス「Adobe Digital Marketing Summit 2014」を開催した。イベントではAdobe Marketing Cloudのサービスのさらなる強化が発表され、オフラインとオンラインのマーケティングミックスの評価、最適化、実行を組み合わせる「Marketing Mix Planning」の提供、「Adobe Experience Manager」のメジャーバージョンアップやモバイル向けソリューションの強化が発表された。

 もう1つの大きな進展が、SAPとの提携発表だ。SAPとアドビはグローバルリセラー契約を締結し、SAPはAdobe Marketing Cloudを同社のインメモリデータベースであるSAP HANAプラットフォームおよび昨年買収したEコマースソフトウェアのhybris Commerce Suiteとともに提供することになる。SAPはERP、CRMといったアプリケーションのトップベンダーでありBIツールやビッグデータのソリューションも持っている。両社の提携がたんなるリセラーという関係に止まらず技術的にもビジネス的にも連携、融合することになれば、マーケティングオートメーションにおける強力な連合チームができあがる可能性もありそうだ。

マーケティングオートメーションはどんどん進化している

 今回の取材で、IBMは事前の想像以上にこの領域に力を入れているなという印象を持った。IBMは買収した製品をあまりうまく活用できていないイメージもあったが、ここ最近は自社テクノロジーとの融合にも積極的で買収製品をうまく自社ソリューションへと進化させている。今後、予測分析の「SPSS」やBIツールの「Cognos」、自然言語処理の粋を結集したQ&Aシステム「Watson」など、ビッグデータ活用で実績ある部分とマーケティングオートメーションをうまく連携、融合してくると、他社に対する優位性となりそうだ。また、「SoftLayer」という強力なクラウド基盤も手に入れており、その上で一貫したサービスとして提供できれば導入の俊敏性も高まるだろう。

 アドビについては、2年ほど前から、さまざまなWebサイトを活用してマーケティング活動を効率化するストーリーの「かなり良くできたデモンストレーション・ビデオ」を目にする機会があった。当初は、「できたらいいな」という夢のような部分も少し入っており、現実化はまだ先の話だろうという印象があった。今回あらためて話を聞いてみて、あのビデオのストーリーを実現するツール群はほぼ揃っていると感じた。さてツールは揃った、あとは実践のための人的リソース確保やツール活用のノウハウ提供といったところをどうするかだろうか。

 マーケティングオートメーション関連のソリューションについては、新たなプレイヤーも続々登場していて目が離せない状況だ。引き続き彼らからも話を聞いて取りあげていきたい。いよいよ「後編」となる次回は、そうした最新動向を紹介する。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに、その後雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在は、オープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。DB Online チーフキュレーター。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/04/01 10:00 https://markezine.jp/article/detail/19478

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