「コンテンツ収集施策」は米国に学べ
「動画広告は売れるのか」という声と並んで聞かれるのが、「そもそもコンテンツがない」という悩みだという。これに関連した最近の動きとして、日本にもWeb動画専門のエージェンシーが登場したことが挙げられる。「自社内にスタジオを構築してコンテンツを生成する企業もありますが、外注する障壁も低くなっています。場合によっては、つくるより集めたほうが早い」と北庄司氏は見解を述べた。
実際に、メディアがコンテンツを集める流れが、米国ではすでにビジネス化しており、「コンテンツエクスチェンジ」として取引されているという。有名な例として米国の大手インターネットサービス会社の「AOL」がある。同社はコンテンツエクスチェンジを通して大量に動画広告の在庫を有し、収益化につなげている。「こうした動きが日本でも活発になれば、在庫も増え、かつ良質なコンテンツの提供にもつながります」と北庄司氏は語る。
「コンテンツがない」ことを解決するもうひとつの提案として、米国で広がりつつあるライブイベントの開催がある。実施後はアーカイブ化できるので、コンテンツを蓄積できる。エクストリーム系スポーツをスポンサードしている「Red Bull TV」などが、この方法で結果を出しているという。
「異業種参入で盛り上がる」動画広告
さらに動画広告の広がりは、異業種のメディア参入をも可能にしている。人気ゲームアプリ「ANGRY BIRDS」はアプリ内に「ANGRY BIRDS TOONS」と題したアニメチャンネルを設置し、インストリーム広告で収益化を図っている。また、ポーカーの試合を生中継する英国のサイト「PokerStars」は、プレーヤー自体をさまざまなメディアに配布し、リーチを最大化しながら広告在庫を増やしている。
「日本では、メディア企業の取り組みが目立ちますが、これまでまったく動画自体の取り扱いがなかった企業が動画提供と広告配信に着手した例も出ています」と北庄司氏。
ブライトコーブでは引き続き、プラットフォームの機能や付帯サービスの拡充を進めていくという。一気に盛り上がる動画広告市場。乗り遅れる前に、この追い風を味方につけるのが得策だ。