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イベントレポート

「ヨルパネ!」に見るヤフーの挑戦、「夜のクリエイティブアワード」を開催する理由とは?


ヤフーは銀座にも、新宿にもなれる

若林:佐渡島さんはこれまでコンテンツ作りに携わっていますが、Webやポータルのコンテンツは、どういうものだとお考えですか?

佐渡島:まだWebには本当の意味でのコンテンツはないと思います。電子書籍は紙のコピーで、Web動画の入り方もTVのコピーです。だから、「Webならではの表現」をしたものは、これからできていくんだろうと思います。僕が考えている最強のリアルコンテンツはディズニーランドです。そこで経験できる楽しさをWebで体験するには、一体どうするかと考えています。

ここからはイメージの話ですが、インターネットの登場は、まっさらな大地に道が引かれた状態だと思います。そして、カテゴリ検索という信号的な役割が登場して、次にGoogleなど、ほしい情報へ瞬時に辿りつける高速道路ができました。さらに、FacebookやTwitterといった人が留まるところができた。それって新宿とか羽田空港ができたものだと思います。そして、街ごとに色があるように、ネット上にも色ができつつある。そして、ヤフーは多くの人が通る場所です。ここに置くコンテンツによって、ヤフーは銀座にも新宿にもなり得ると思います。だから、コンテンツを誰が作るかも大きいと思います。

若林:なるほど、コンテンツの強さは、制作の仕組みによって変わるものなのでしょうか?

佐渡島:漫画の場合ですが、チーム制は最低限のレベルは上がります。だから、単発できちっとヒットします。マガジンはこの方式です。一方、作家の主導権が強いジャンプは完全版の単行本が売れる。同時代的に売れるか、10年スパンで売れるかは変わってくると思います。

若林:そういう意味では、ヤフーは銀座や原宿だったら何になりたいですか?

友澤:2014年はインターネットにとって岐路に立っていると思います。この先、インターネット広告が看板化するか、テレビなどのコンテンツに近づくかは、1・2年で決まると思います。そのときに、ポータルのような人の集まる場所に面白いものを提供する方が良いのか、動画の前に広告を打った方がいいのか。我々はメディアとして、新宿や渋谷を作りたいと思っています。ただ、いろいろなチャレンジはしたいですね。

若林:先ほど触れたように、ヤフーはインフラ的な側面もあると思います。水道水に特色は不要なように、ヤフーに色づけするのはどうか、という見方もできますが?

友澤:例えばNHKは今、新しい試みとスタンダードな番組の両方を作っていますよね。2つのバランスをユーザーに問うている印象があります。ヤフーもそれをする必要があるのではないかと。もちろん、水道から急にジュースが出てきたら驚くでしょう。だから、まずは時間を限定して、面白いことをやってみる。そして、気に入ってくれた人がいたら、そっちに合わせてゆくイメージです。だから、トライは必要だと思います。

朴:個人的にはヤフーやGoogleといった、大きいインフラは時に大胆なことをやってもいいのではと思います。例えば「音が嫌だ」という意見に合わせて音を消すんじゃなくて、もっといい音を探しますというスタンスをとる。そういうチャレンジをしてもいいんじゃないかと思います。

若林:コンテンツを作るときに必要なことはあるのでしょうか?

佐渡島:コンテンツを作るときの考え方は媒体によって違います。バナー広告は儲かるものとそうでないもの、という区別がないかと思います。出せば、ある程度同等に利益を出すことができる。でも、私の関わるコンテンツの場合、9割は赤字で残り1割がすべてをカバーします。

極論を言うと、コンテンツはインフラではないので、あってもなくてもどちらでもいいんです。だから、基本的に利益が出ないものです。1つ1つのコンテンツについて売る前から利益がでるかどうか考えていたら始まらない。企画書の段階で意味があるものか論じていては、面白いものは作れない。

若林:それ以外のやりかたはできないものなのでしょうか?

佐渡島:できるとは思います。でも、どんなコンテンツを作るかという覚悟の問題だと思います。誰のコピーでもない新しいものを作りたいとき、非論理的な作り方をしないといけない。それに、作り手も重要です。クリエイターに急に大きな仕事を与えると、化けることがあります。

「真夜中」という時間の概念が重要

朴:そういう意味では、ヤフーの持っているインフラ的な使命感では、クリエイターがチャレンジできる場所がヤフーにはない、とも言えるかもしれません。今回、ヤフーに時間の概念を与えることで、「朝でも夜でも同じ」じゃなくて「夜中のヤフー」になる。この新しい場所でクリエイターに挑戦の場を与えるというのは、いい取り組みではないかと思います。

そして、これは見る側の話ですが、漫画を読む時って面白いものを見よう、という気持ちで本を開くと思います。でも、ヤフーに行く時って地震があったりとか、何かがあったときですよね。つまり、まずは「ヤフーを見に行こう」という気分を作らないと、そもそもコンテンツが生れないのではないかと思います。そう言った意味でもヨルパネ!というチャレンジは重要なのではないかと思います。

佐渡島:時間の概念を与えたというのは、それだけでも大きなことかもしれませんね。インフラは「いつでも・早く・便利に」が大切だと思います。でも、コンテンツの場合は、どういう制限を加えるかを考える必要もあると思います。

若林:ヨルパネ!は様々な部分での波及効果を期待できるのかもしれませんね。そのなかでも、特に期待している点はどこでしょうか?

友澤:今までは、限られたクリエーターに限られた制約条件のもとで、バナーを作ってもらっていました。しかし、今回の取り組みでは誰もが表現できます。そのなかで、いいクリエイターが現れたらと思います。

佐渡島:お題が自由なので、キャラクターを借りてきてライセンスフリーにして、使っていいよとしても面白いかもしれませんね。

朴:今回は夜のブラパネを変えてみようという取り組みですが、メニューそのものを変えてもいいと思います。例えばコンテンツエリアを作るとか。ヤフーは今、使い勝手しか重視していない気がします。今回の取り組みを通して、遊び心が生れるといいかと思います。

友澤:そうですね。制約条件と自由を上手に同居させるかが、ヨルパネ!の大きなチャレンジだと思います。

「ヨルパネ!」作品公開スケジュール

7月13日:ヨルパネ!サンプルバナー(バスキュール)
7月28日~8月末:ゲストクリエイターヨルパネ!クリエイティブ
11月末:アワード受賞作掲載
作品応募は7月15日~8月18日です。詳細はこちらから。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/09 11:32 https://markezine.jp/article/detail/20434

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