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イベントレポート

「話題になる」には理由がある!カンヌライオンズ受賞5作品に見る広告の仕掛け

 話題になる広告、生活者に行動を促す広告にはどのような仕掛けが施されているのでしょうか?7月11日、WOMマーケティング協議会によって開催された「WOMマーケティングサミット2014」では、カンヌライオンズ2014受賞作品を取り上げ、内容や仕掛けの解説が行なわれました。

そもそもカンヌライオンズって?

 本記事は、7月11日に開催されたWOMマーケティングサミット2014中のセッション「カンヌライオンズ2014最新報告 世界のコンシューマーアクティベーション」のレポートです。アサツーディ・ケイの高野文隆氏、多摩美術大学教授の佐藤達郎氏が登壇。カンヌライオンズで話題になった5作品について、「情報の広がり」や「生活者の購買促進」の観点から解説がされました。

多摩美術大学教授 佐藤達郎氏(左)、株式会社アサツーディ・ケイ 高野文隆氏(右)
多摩美術大学教授 佐藤達郎氏(左)、株式会社アサツーディ・ケイ クリエイティブ・ディレクター/コミュニケーション・アーキテクト 高野文隆氏

 作品紹介に入る前に、まずは「カンヌライオンズ」がどのような場か確認をしておきましょう。

マーケターもチェック必須のイベントへ

 正式名称「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」は入場者数、エントリー数ともに世界最多規模のイベント。以前は「カンヌ国際広告祭(Cannes Lions International Advertising Festival)」という名称でしたが、2011年に名称が変わりました。

 イベント名の通り、以前は広告の表現が中心となる場でしたが、現在ではマーケティング課題や問題解決のアイディアを求める場となっています。メディアの変遷に応じてアワードもセミナーも拡充しており、単なる広告業界のイベントではなく、アドを軸としたマーケティングイベントに成長しています。そのため、クライアントやクリエイターだけでなく、マーケターにとっても無視できないイベントだといえます。

 高野氏は今年、プロモ&アクティベーション部門の審査員を担当。この部門は、生活者を今すぐに動かして、購入行動などに至らしめる仕組みやアイディアを考えた作品が評価されます。そのため、作品のクリエイティビティはもちろん、結果が重視される部門です。フィルム・デジタル・リアルイベントなどジャンルを問わない作品が集まり、注目度も高いそうです。高野氏は「広告やマーケティングに関するすべての要素が詰まっている部門」と表現しました。

注目作品は「ソーシャル活用」が前提

 今年の上位作品について、高野氏は「当たり前のようにソーシャルの活用やインターネットでのスプレッドが組み込まれていたり、中心に据えられている」と振り返ります。例えば、リアルイベントは、イベントの様子を撮影した動画とセットになっていることが多いとのこと。イベント自体を直接体験する人は限られていても、きちんと多くの人に伝わるというわけです。

 長い前フリはここまでにして、さっそく作品を見ていきましょう。

「みんなの本音を」代弁したプレゼント

キャンペーン概要

 作品名:Sorry,I spent it on myself

 国名:イギリス

 企業/ブランド:HARVEY NICHOLS

 イギリスに本店を置く百貨店「HARVEY NICHOLS」がクリスマスに仕掛けたキャンペーン。プロモアンドアクティベーション部門、フィルム部門、テレビCM部門、プリント部門でグランプリに輝いた作品です。タイトルは「私のためにクリスマスの予算を使ってごめんね」という意味。

 毎年クリスマスの時期になると、百貨店では熾烈な商戦が行なわれます。多くの百貨店が「大切な誰かへ」といったメッセージなど、懐かしかったり心温まる内容でアプローチをします。そのなかで、本キャンペーンではユニークな戦略がとられました。たわしや輪ゴムといった、200~300円程度の日用品を高級品のように美しくパッケージング。オンラインや店頭で今年のクリスマスギフトコレクションとして提案・販売したのです。

 これは、「クリスマスプレゼントに多くのお金を使うけど、本当は自分に使いたい」という誰もが口に出さないインサイトを、実際のプロダクトにまで落とし込んだキャンペーンです。ティザーサイトを見た人に「本気なの?」と思わせて、本当に商品を売ってしまうという流れ。ファッションブログを中心に話題になり、2万4,000アイテムが3日間で売り切れたそうです。高野氏はこの作品について、物議を醸すことを狙いつつ、大人のユーモアにすることで上質なクリエイティブになっていると解説しました。

 また、このプロジェクトでは、ハッシュタグ付きでツイートをすると抽選でプレゼントが当たるなど、細やかな拡散施策も行われました。ハッシュタグが「#SpentItOnMySelf」というのもクスリとさせます。派手なコンセプトに目が行きがちですが、情報を広げるために丁寧で緻密な計画がされたキャンペーンでした。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/31 14:00 https://markezine.jp/article/detail/20529

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