1億円をかけて実証!マス広告のクリエイティブ効果を確実に上げる方法
通販王国の九州に本社を構える売れるネット広告社。「現在はRKB放送会館にオフィスを構えているが、そのうち買収して売れる放送会館に名称を変えようかな(笑)冗談ですよ!」と会場はどっと笑いに包まれた。さすが前年度に続き、今年度のアドテック九州の公式カンファレンス人気スピーカー1位となった加藤公一レオ氏だ。同社はやずやをはじめ、花王やLIONなどの日本の大手メーカー系通販などのコンサルティングを担っている。
「今日のテーマは、ネット広告周りではなく、オフライン、すなわちマスメディア業界への新しい問題提起を行いたい。約4年間にわたり、1億円をかけて実証したテレビCMや新聞などのマスメディアのクリエイティブの効果を、確実にアップさせる方法についてこれから語る」(加藤氏)

「この50年間、テレビCMや新聞広告などマスメディアのクリエイティブは運任せの水物だった」と加藤氏は指摘する。
これまで、マスメディアの広告クリエイティブは、コンペやプレゼンテーションの場で広告主の宣伝部長や社長、広告代理店のクリエイティブディレクターなどの感性で選ばれるのが主であった。これといった検証をせずに選ばれたクリエイティブで広告キャンペーンを行った結果、商品が売れなかったり、広告効果を実感できない状況に陥いることが多かった。
一方でネット広告業界では、広告クリエイティブの徹底的なA/Bテストを行い、効果を最大化させることに取り組んできた。具体的にはキャンペーン前に全体予算の10%程度を使ってA/Bテストを行い、最も効果の良いクリエイティブを見つけ出し、本番キャンペーンに使うというシンプルなことだ。
「たとえ小さい規模のテストであっても、特定のランキングがついたクリエイティブは、規模がその10倍、100倍に大きくなった本番のキャンペーンで使用しても、ほぼ同じランキングになる」と加藤氏は力説する。
ネット広告業界の文化を、マス広告へ応用
では、ネット広告業界のA/Bテストにより最適なクリエイティブを見極める文化を、マス広告にも応用すればいいのではないだろうか?マス広告では構造的にA/Bテストを行うことができないのだが、「そのためには、古臭い固定概念をとっぱらうことが大切だ。これからのテレビCMや新聞など、マスメディアのクリエイティブは“ネット上のA/Bテスト”の結果で統計学的に選定される時代が始まる」と加藤氏。
テストを行ったクリエイティブでマス広告キャンペーンを行ったところ、広告に比例して出荷量がアップ!

※イメージ(ブランド)広告におけるA/Bテストにおいては、単純なキャンペーンサイトへの遷移率でレスポンスを判断する。
「テレビ、新聞などのマスメディアの媒体では、物理的にA/Bテストを行うことは不可能。だからこそ、ネット広告を使って、マスメディア用のA/Bテストを行うのだ。ネットメディア上のA/Bテストで最も効果が高かったクリエイティブは、マスメディアでそのまま使っても同様に一番効果が高くなる。この衝撃の事実を、この4年間で1億円をかけて実証した。そして、これは通販業界だけの話しではなく、イメージ広告(ブランド広告)でも同様の実験を行い、同様の事実が証明された」(加藤氏)
この仕組みはすでに同社から6月上旬に『売れる TVCM クリエイティブテスター』『売れる 新聞・チラシ クリエイティブテスター』としてリリースされており、業界で話題となっている(関連記事はこちら)。これまで、オフラインメディアの広告クリエイティブの選定は、いわば聖域のようなものであったが、加藤氏のプレゼンはそこに一石を投じるものとなった。