通販業界で活躍する女性マーケターたち
「このセッションの2つのキーワードは『現場』と『女性目線』」と、モデレータの大広九州 月成氏は切り出した。本セッションはアドテックの中でも珍しいスピーカーが女性のみのセッション。スピーカーとして登壇したのは、ペンシルの倉橋美佳氏、やずやの宇野京子氏、えそらフォレストの林田七恵氏の3名で、現役のダイレクトマーケターとして第一線で活躍している女性たちだ。
「通販会社では活躍している女性が多く、また実際に通販の商品を使っている人も女性が多いです。にもかかわらず、カンファレンスなどの場になると男性がどうしても多くなりがちです。そこで通販業界を引っ張り、かつ支えている女性マーケターたちを紹介できればと思い、本セッションを企画しました」(月成氏)
九州通販の雄、やずやの組織体制の秘訣は「アイデア会議」
本セッションは、14社の通販企業のWEB担当者に対して事前に実施したアンケート調査結果をもとに、議論が勧められた。
「WEBの部署には何人いますか?」という質問に対して、全体の平均は4.6人。地域別では、九州が6.8人、九州以外(東京・大阪)では3.4人となった。また業種別では、単品通販の平均は7.7人、メーカー通販の平均は2.4人。単品通販企業のほうがWEB担当者は多い傾向であった。
そして、社内組織の構成について「領域役割タイプ(新規担当、運用担当、CRM担当など商品を横断して役割別に仕事が分かれる)」「商品別分担タイプ(商品別に、新規・運用・CRMなど一連の施策を担当する)」「全部1人タイプ」のどれに当てはまるかをたずねたところ、九州に代表される単品通販企業には「領域役割タイプ」が多いことがわかった。一方で東京のメーカー系通販では、「商品別分担タイプ」の傾向が見られたとういう。 ここで、月成氏はやずやの体制について宇野氏にたずねた。
「まさに弊社は九州の単品通販会社ということで、WEBの部署の人数は多く、今は9名います。組織体制としては縦割りの『領域役割タイプ』ですね。また、システム関係のことも部署の社員が深いところまで担っています。社内の基幹システムにあるお客さまのリストとECのデータ、双方を活用して、やりたいことを実現する仕組みをどう作るか、といったことも部署内で検討しています。ここはやずやの特徴とも言えます」(宇野氏)
「縦割り組織のメリットとしては、専門性が強くなることが挙げられますが、一方で課題もあるのでは?」という月成氏の問いに、「アイデア会議を定期的に開催しています」と宇野氏。
「アイデア会議とは、自分の担当領域外の人ともディスカッションをして、アイデアを出し、いいものを作っていく会議です。そこでは、自分の仕事の領域だけではなく、人の領域の仕事も一緒に考え、部署の中で担当をまたいで行っています」(宇野氏)