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「あのキャンペーン」の担当者に直撃!

狙うは20~30代! デジタル施策に的を絞った森永乳業「ピノ」の挑戦とは?


興味を持ったユーザーの8割が実践

 この企画の最終的な目標は商品の売上アップだ。蓋を開けてみると、朝ピノプロモーション実施期間中の1店舗当たりの商品の回転数は、前年比約106%(森永乳業調べ)という結果となった。「朝ピノがどれだけ貢献できたか、具体的な数値は分かりません。しかし、態度変容の側面では、良い数字が出ました」と蓮沼氏。

 このプロジェクトでは、朝ピノの認知から実践までの態度変容を重要な指標と捉え、計測・分析がされていた。朝ピノを認知した人を100%とした際、認知した人全員が朝ピノに興味を持ち、内90%が実践したいと考えたという。そして、実践意向のある層の80%が実践し、70%が情報を拡散をしたという結果が出た。「Twitter上で情報の広がりを調べると、マス的な広がりではありませんでした。しかし、反応の質という部分では非常に高かった」と蓮沼氏は語る。

 この結果の背景には、サイトコンテンツの展開方法にあると蓮沼氏は考える。昨年は、全世代に知名度のあるインフルエンサーではなく、各ジャンルごとに熱烈な支持層を持つ人物を起用。朝ピノについてのレポートをサイトで公開した。「情報量が莫大に増え続けているので、不特定多数に情報を出すとスルーされがちです。興味関心を持っている人だとか、ターゲットを絞ってそこにしっかりと伝えていく重要さを感じました」と蓮沼氏。

2013年の「朝ピノ」参加者(クリックで参加者を全員確認できます)

2014年は「ターゲットを絞ったデジタル施策」

 2013年の施策を通して感じたことは、“20~30代の情報拡散力と相性の良さ”だという。昨年の施策では、年代が上がるほど興味なしという声が増える傾向が見られた。一方、SNSで「朝ピノ」の情報拡散をしているのは、20代が圧倒的に多いことが調査で判明した。その結果から、蓮沼氏は仮説を立てた。「ターゲットを定め、その層にとって面白かったり誰かに伝えたい内容ならば、自然と情報が広がっていくのではないかと考えました」

 そこで、昨年の結果を受けて、2014年は情報感度の高い20~30代をターゲットにした、デジタルに特化したプロモーションがテーマとなった。また、ピノの特徴として、ライフステージが変わると、ユーザーが商品から離れる傾向があった。特に、学生から社会人になった時が、ターニングポイントになりがちだという。「若いビジネスマンは、休眠層が多い世代。そこを取り戻すという視点でも、親和性が高いと考えました」

露出は「クリエイターの作品>商品」で考える

 2014年度のプロモーションを企画するにあたり、ターゲット層と親和性の高い人・場所・やり方が意識された。「情報感度が高く、拡散力があるユーザーに刺さるためには、デジタル上で話題になっている人の起用が良いと考えました」と蓮沼氏。そこで、起用されたのが冒頭で紹介したメンバーだ。選定のポイントは、メジャーというより、ポテンシャルが高い“ネット好きな人が好きそうな人”だという。「例えば、Vineを活用する大関れいかさん。Vineは6秒の動画が撮れる海外でもポピュラーなツールです。6秒動画は非常に短いから技術や構成の能力が必要。でも、彼女のネタを見るとたった6秒なのに内容が詰まっていて面白いんです。彼女のエンタメ性と、朝ピノのコラボは相性がいいと考えました」と蓮沼氏。

 さらに、参加メンバー自身の情報発信力も重視された。彼らはTwitterアカウントを既に持っており、ファンもついている。彼らのコンテンツ力と朝ピノを掛け合わせ、個性に合った作品をTwitterやサイトなどに投稿してもらうことで、ターゲットへのアプローチができないかと考えたからだ。「まずは大関さん・大野さん・森さんのメディアやアカウントで面白いコンテンツに触れてもらって、リンクを辿って行ったら朝ピノラボがある、というのが理想です」と蓮沼氏。話題化・拡散を考えた場合に、企業色が出ると、ユーザーは冷めてしまう。「ピノが入口になるよりも、クリエイターのあとにピノがついてくる構図を考えました」とのこと。

 ここには、予想外の効果もあった。Twitterに一度投稿したコンテンツは、botアカウントなどによって長期スパンで拡散され続けたのだ。「狙っていた拡散は短期的なものでした。しかし、4月に投稿されたネタが、8月でもTwitterで回遊し続けています。」

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伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/04 12:13 https://markezine.jp/article/detail/20716

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