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統括編集長インタビュー

「プロ野球で例えると今日は入団会見。本番はこれから」── 本日上場、ロックオン代表岩田氏インタビュー


一生活者となりシリコンバレーの強さを肌で感じた

 ── 大きな転機が2009年~2012年にあったのではと感じます。「ドクソウするための助走」という3か年のスローガンを作っただけでなく、2010年11月にシリコンバレーオフィスを開設。2011年12月にad:tech New Yorkへ出展など、海外へ目を向けはじめた印象です。

 2008年に赤字を経験し2009年に黒字化を達成しました。黒字化はもちろんすばらしいことですが、私たちの目標は世界にインパクトを残すことです。目先の目標に満足せずに、原点に立ち返ってもう一度自分たちを見つめ直すタイミングとなったのが2009年なのです。そして2009年10月に「ドクソウするための助走」というスローガンを立て、世界で戦うための準備期間を3年間設けることにしました。

 ただ、いきなり「世界」と言われてもいまいちピンとこない。私自身、世界と戦うための感覚がつかめてませんでした。そこで、私自身がまず一生活者の感覚を持つことからはじめようと考え、2010年11月にシリコンバレーオフィスを開設し、日本とシリコンバレーを往復する日々がはじまりました。1年の半分はシリコンバレーで過ごしてましたね。その生活が3年続きました。

 ── シリコンバレーと日本の往復の中で、何を感じ、学んだのでしょうか。

 まず感じたことは、シリコンバレーの戦いはしんどいねってことです(笑)。なぜシリコンバレーの会社は強いのか、自分自身で分析を重ねた結果、ある答えがでました。シリコンバレーには企業の成長を支援する王道のようなルートがあるのです。

 まず投資家向けのピッチに登壇し、エンジェル(個人投資家)やベンチャーキャピタルから出資を募る。出資先にはネットワークがあるので、出資先経由でネットワークを広げつつサービス開発を進め、同時に出資をさらに募っていく。シリコンバレーであれば未上場でも上手くいけば50~100億円ぐらいまでの資金調達は可能です。

 一方出資した側は、イグジット(会社売却)を狙っています。選択肢はIPOかバイアウトとなりますが、IPOは実は稀でそれこそFacebookなどの超大物サービスでないと厳しい。9割はGoogleなどビッグプレイヤーへの売却となります。ヒト・モノ・カネ・情報…スタートアップが成長するためのエコシステムがシリコンバレーには揃っているのです

 そういった一連の流れに乗ってしまった方が手っとり早いのではないかと考えがちですが、本社が日本にあるという時点で、その流れに乗ることは極めて困難になります。投資家から見れば身近にいる方が状態を確認しやすいですし、優遇するのは当然ですよね。また、先ほどシリコンバレーでもIPOは稀で会社売却が大半と申し上げましたが、仮に上手く流れに乗ったとしても、買収側が日本人組織を優先して選ぶことはまず考えにくいです。

まずは日本を軸とした成長ストーリーを作る

 ── シリコンバレーでの起業は考えなかったのですか?

 そういう声もいただきました。もちろんシリコンバレーでも認められる存在になりたいのですが、シリコンバレーのエコシステムは巨額の赤字を垂れ流しても市場獲得を優先して進め、ゴールはIPOか会社売却となります。持続的な成長というよりは極めて短期的な視点での成長であり、どうも自分にはしっくりきませんでした。

 結果的にまずは日本でしっかりと成長し戦える組織を作る。日本を軸とした成長ストーリーの土台の上で、世界と戦おうという結論に達しました。株式会社ロックオンが上場して得る資金は数億円程度と予測しています。世界と戦うための軍資金としては、まだまだ足りません。そのため上場後の資金調達が重要となります。

 加えて組織のグローバル化も積極的に進め、外国人の方も積極的に採用したいと考えてます。表現が難しいのですが、日の丸を背負って海外へ打って出る! という感覚よりは、グローバルな視点が普通というか自然というか、特別なことではない環境にしたいと考えております。色々な国籍の方がいた方が発想もより豊かになりますしね。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/22 13:09 https://markezine.jp/article/detail/20718

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