SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

次世代広告エージェンシー最新動向(AD)

東南アジア最大級のDSP「Syndacast」と提携、GMO-PGが海外広告配信を本格開始へ

 GMO ペイメントゲートウェイは、決済事業会社ながら広告事業に異業種参入し、GoogleやFacebookから運用成績の高さを評価されている。そして今年、海外での広告配信を開始した。海外進出の背景や、配信先の国の事情や文化を踏まえつつ成果を伸ばすためのノウハウを、同社の小林孝氏と門田啓史氏に聞いた。

決済事業会社、広告配信事業で海外へ

 決済事業のリーディングカンパニーであるGMO ペイメントゲートウェイは、2011年より広告事業に参入。リスティング広告やDSP広告の運用代行、Googleアナリティクス解析など幅広いサービスを展開。同社は、数千社が参加するGoogleオープンビジネスパートナーのうち、最優秀パートナーに贈られる「Google Excellent Performer Award」を2012年から2年連続で受賞。また、2013年にはFacebook広告を扱う広告代理店900社のなかで、運用数1位の成績を収め優秀賞を受賞している。

 このように、国内でも成果を残す同社は、広告配信事業で東南アジアに進出した。海外への本格進出の背景や、配信先の国の事情や文化を踏まえつつ成果を伸ばすためのノウハウを、GMOペイメントゲートウェイの小林孝氏と門田啓史氏に聞いた。

GMOペイメントゲートウェイ株式会社 企業価値創造戦略 統括本部 企業価値創造企画室
集客支援グループ 課長 小林孝氏(右)
同新領域促進チーム 主任 門田啓史氏(左)
GMOペイメントゲートウェイ株式会社 企業価値創造戦略 統括本部 企業価値創造企画室 集客支援グループ 課長 小林孝氏(右)同新領域促進チーム 主任 門田裕史氏(左)

スタートは常にクライアントのビジネス支援

MarkeZine編集部(以下編集部):そもそも、なぜ御社は広告事業をはじめたのでしょうか?

小林氏:当社は1995年に創業し、ネットショップや公的機関など約48,000社のお客様に、総合決済サービスを提供しています。お客様は主にEC事業者で、お客様の最大の課題はECサイトでの売上の向上です。なかでもリスティング広告やSEOなどに特化した悩みや相談を多く頂いています。

 当初は社内に課題の解決をダイレクトにお手伝いできる部署がなく、そこで、ないなら作ろうということになって、広告事業をはじめました。ですから、お客様と一緒に売上向上策を考える。つまり、お客様のビジネス支援を目的にできた部署です。当社は決済サービスを提供しているので、ほぼリアルタイムで販売実績、購買データを把握しながら広告運用をできていることが強みです。

 その結果、メインは決済サービスを行っている当社ですが、Google AdWordsのパートナーとして評価して頂いたり、Facebook広告の広告代理店として、1位の運用成績を頂くなど、徐々に実績を上げることができています。

編集部:決済事業会社ならではのビジネスモデルですね。今回、海外での広告配信を始められたとのことですが、狙いを教えてください。

小林氏:当社は決済事業の海外展開を2013年から始めています。すると国内同様に、お客様から売上を上げるための相談を受けるようになりました。そこで、お客様のニーズにお応えするために海外の広告事業者と連携し、広告配信事業をスタートすることにしました。

編集部:いずれも、決済事業でのクライアントのニーズや課題解決を考えたときに、広告配信の必要性が出てきたのですね。

海外広告配信の詳細はこちらからご覧いただけます!

海外への本格展開、なぜ東南アジア?

編集部:これまでに海外での広告配信はされてきたのですか?

小林氏:はい。過去にもテスト的に配信したことはありました。例えばお花を取り扱うECサイト様のケースがあります。海外に住む日本人に向けて「母の日のお花を送りませんか?」という広告を配信する、といったことを行いました。これは、日本人が多く住む20カ国で配信し、良い結果を出すことができました。

門田氏:そしてこの度、東南アジア最大級のDSP配信システム会社である、Syndacast(シンダキャスト)社と組み、タイ・シンガポール・インドネシア・マレーシア・香港・台湾などの東南アジアで配信を始めました。Syndacast社はオンライン(マーケット)に特化した広告代理店で、3,000万サイトへの配信、1日当たり370億のインプレッションが可能です。ECサイトはもちろん、ホテル・トラベル・航空会社などの顧客を持ち、同社が広告配信を支援した顧客は過去2年でROIが2倍、広告経由の売上が5倍になるなど、目覚ましい成功例を保持している企業です。当社は東南アジアで決済サービスを先んじて提供してきたので、Syndacast社の力も借りて、広告事業もさらに大きくできたらと考えています。

海外広告配信
海外広告配信
Syndacast CO., LTD CEO Wolfgang Jaegel氏

 We are delighted to partner with GMO Payment Gateway, Japan's largest online payment gateway company.As Syndacast is a well-established Digital Marketing Company in Southeast Asia, and GMO has about 48,000 E-Commerce merchants, the partnership is about providing leverage and supporting merchants who are expanding their business into the region. With that said, I have high confidence towards our joint collaboration with GMO.

 Syndacast社のCEOであるWolfgang Jaegel氏は今回の提携について、「日本最大手の決済事業会社のGMO-PG社と提携がすることができて光栄です。Syndacastは東南アジアで高い評価をされているDigital Marketing Companyであり、GMO-PG社は日本に約48,000ものEC事業者と契約しています。この提携を通じて日本のEC事業者の海外展開を一緒に支援できればと思います。」とコメントを出している。

編集部:なぜ、進出先を東南アジアに定めたのですか?

小林氏:決済事業を始めて20年、お陰さまで当社は一定の実績を残すことができました。さらなる成長を考えたとき、成熟したアメリカやヨーロッパ市場への進出よりも、成長途上の東南アジアへの展開を考えました。現在、東南アジアのEC市場は約1兆円で、これは10年前の日本と同じくらいの規模と言ったところです。

 とはいえ、「これから伸びる」市場というだけではなく、例えばタイは現在4,000~5,000億円と、今でも充分魅力的と言える市場なのです。加えて、今後の伸びも期待できますから、進出するには絶好のタイミングだと考えました。

広告費20万円で売上200万、シンガポールのクライアント事例

編集部:現地のクライアントとしては、どのような人をターゲットにするのですか?

門田氏:基本的には、当社の決済サービスの加盟店様の販売をお手伝いします。現地企業がメインですが、日本から進出している、これから進出する企業も想定しています。広告は主に、現地の方への配信を考えています。クライアントにとってのメリットは、Syndacast社の技術力はもちろん、当社を介することで日本のきめ細やかなサービス(言語、詳細な報告など)を享受できることだと考えています。当社が間に入ることで、スムーズな取引を実現できればと思っています。

編集部:すでに現地で進んでいる案件はあるのでしょうか?

門田氏:シンガポールでは、化粧品を販売するECサイト「Best Buy World」のお手伝いをしています。成果としては、20万円の広告費で、200万円の広告経由の売上を達成しました。Syndacast社は、DSPに強みを持っています。今回のケースでは、化粧品を買いたいと思っている20代~30代の女性を選び、広告を配信しました。もちろんリスティングやFacebookの広告も行えますが、やはり、売上につなげられる点が広告主様にご満足してもらえる点だと思います。

オンラインコスメサイト 「Best Buy World」
海外広告配信の詳細はこちらからご覧いただけます!

海外での広告配信は2つの視点が重要

編集部:国内と海外で、広告配信の勘所に異なる点はありますか?

門田氏:広告を配信するだけならば、システムがあれば全世界に配信することができます。ですが、その国独自の文化や慣習を知っていないと、簡単に成果を出すことはできません。グローバリゼーション、ローカライゼーションの合わせ技が必要だと感じています。

 例えばマレーシアは、2,900万人の人口のうち2,100万人がムスリムです。ECの売上は、7月末にラマダン明けを祝う「ハリラヤプアサ」というお祝いの前に、一番の盛り上がりを見せます。お祝いに必要なものを揃えたい、という意欲が高まるのでしょう。逆に、この時期を逃すと大きな損失となります。当然、広告効果はこの時期が高いのですが、文化を知らないと効果を出すことができません。

 また、国によって適した広告表現も異なります。日本の広告では「マイナスX才肌」みたいな表現がよく見られます。しかし台湾では、「5歳若返ります」といった化粧品の広告は禁止されています。言語の違いのみならず、このような「違い」を踏まえたビジネス展開が必要です。

 さらに、現地の人間が使用するデバイスの普及状況も知らねばなりません。例えば東南アジアではいま、急激にスマホが普及しており、利用状況は日本とほぼ変わらなくなりました。電車の中でもみんなスマホをいじっている、日本に似ているんです。またタイのLINEユーザーは、ゴールデンタイムのテレビの視聴者数よりも多いと言われています。この状況に合わせた広告の配信が重要です。

 当社とSyndacast社、両社の持つノウハウを駆使してお客様の売上アップにつながる広告配信をしてゆきたいと考えています。まさに始まったばかりの取り組みですが、まずは海外決済サービスの加盟店様のうち半数のお客様にご利用頂くことを目標に展開をできればと思います。

海外広告配信の詳細はこちらからご覧いただけます!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

齋藤 麻紀子(サイトウ マキコ)

フリーランスライター・エディター

74年生まれ、福岡県出身、早稲田大学第二文学部演劇専修卒業。 コンサルティング会社にて企業再建に従事したのち、独立。ビジネス誌や週刊誌等を通じて、新たなビジネストレンドや働き方を発信すると同時に、企業の情報発信支援等も行う。震災後は東北で起こるイノベーションにも注目、取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/09/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/20819